「事実」と「判断」を混同しない

問題は、悪い話のときです。部下の立場になってみてください。上司の前で、できるだけ自分に都合の悪い話はしたくないものです。悪い情報や問題はできるだけ小さく見せたい。それが人間の心理だと思います。

そこで何が起こるのかというと、「事実」に自分の判断を加えた「意見」にしてしまうことがよくあるのです。悪気はなくても、自分に不利な情報にならないように、つい「事実」を加工してしまう。しかし、これでは、上司としては正しい判断ができなくなります。

ときどき重大な意思決定を間違える会社があります。

それは、間に何度も部下の判断が入ってしまっているからだと思います。現場では全然、大丈夫ではないのに、部下としては上司になかなか本当のことは伝えにくい。そのために、「事実」ではなく、大丈夫だと思うという「判断」を伝えてしまう。結果的に、トップと現場で認識に大きな乖離ができてしまうということが起こるのではないでしょうか。

何かの報告を受けるとき、私がいつも部下にお願いしていたのは、「事実と判断は分けてくれ」ということでした。そうすれば、両者の混同をせずに済みます。

まずは、事実を聞く。その上で、それについて部下はどう思ったのか、を聞く。これをやらないと、判断だけを聞いて終わってしまいかねない。事実が聞けないのです。

写真はイメージです (写真/Shutterstock)
写真はイメージです (写真/Shutterstock)

事実を聞く。現場の意見を聞く。その上で、自分はさらに上の観点で判断する。最悪の場合、リスクはどれくらいなのか? 本当に大丈夫なのか? それらを考慮した結果、部下の判断とは違った判断をする場合もあります。

事実には、一番の説得力があります。だからこそ、まずは事実や一次情報を重視する。
その上で、リーダーは最終判断をするのです。