「仕組みや運用に完璧というものはありません」
近年、多機能化が進むロッカー。マルチ決済や宅配便の受け取り機能など、サービスの幅が広がっている。そうしたなか、前出の事例のような通信障害などさまざまなトラブルも想定される。
1964年に日本で初めてコインロッカーを製造した大手ロッカーメーカー「アルファロッカーシステム」の担当者に、ロッカーのトラブル対応について見解を聞いた。
「当社でも、電話会社の一時的な障害が原因で不具合が生じたケースはありました。しかし、継続的に通信障害が発生したことはありません。
私たちの場合、緊急時のコールセンターは24時間対応です。現場への駆けつけは時間的な制約もありますので、状況に応じて対応します。現場に伺える時間帯でないときは、お客様の住所やメールアドレスをお聞きし、後日こちらから荷物を送付するような形になります。
また、近隣にお住まいの方であれば受け取り期日を指定していただくこともできます。取り忘れがあった場合には、速やかに回収して事務所で保管するなど、ケースに応じた対応を行なっています」
通信障害のみならず、取り出し用のレシートの紛失など、およそ60年のコインロッカー事業を通しあらゆるトラブル対応を経験してきたという同社の担当者は、今回の事案について次のように話した。
「仕組みや運用に完璧というものはありません。トラブルや障害はどうしても起きますが、それに対してどういうサービスを提供できるかが重要だと思います。『ネットワーク系のロッカー=通信障害で取り出せない』というイメージで捉えられてしまうのであれば、我々としても本意ではありません」
今後は場所や用途等に応じて多様な種類のロッカーが「共存」していくのではないか、と話す。
「(鍵で開閉するタイプのロッカーは)世の中の意見としては減らしたいという声が多いかもしれません。ただ、例えばイベント会場や、プールやスキー場などの季節営業施設などは、インターネットや決済端末の契約金を払い続けるメリットがないため、従来式のロッカーが適しています。
また体育館や図書館等の公共施設や美術館など、コイン返却式の無償ロッカーを設置するのが適した場所もあります。今後は、設置場所に応じたさまざまなタイプのロッカーが共存していくようになるのではないでしょうか」
ITや通信技術の発達とともに多機能化が進むロッカー。利用する側としては、用途に応じてスマートに使い分ける姿勢が大切なのかもしれない。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













