「いただきます」廃止記事、フェイクか?

11月4日にXの某インフルエンサーが〈給食の『いただきます』廃止の声があるらしい(略)実際に2023年に千葉県内で、給食前の挨拶を“各自の判断で行う”小学校があったようだ 理由は『宗教的な理由での配慮』〉と発信。

投稿は瞬く間に拡散され、WEBメディアをうたうニュースサイトが「『いただきます任意化』にSNSが衝撃!『伝統文化』vs『宗教的配慮』」なる記事を配信し話題になった。

写真はイメージです(PhotoAC)
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「いただきます」という感謝の気持ちと宗教問題がどう関係するのかは実際のところわからないが、この投稿の真偽はどうなのだろうか? まずは千葉県教育委員会に聞いた。

同教委保健体育課の担当者は「給食に関しては県教委では高校のことは管轄内ですが、小中の給食については市教委が管轄になる」としながらこう答えた。

「基本的に『いただきますと言ってください』といった周知はしていませんが、平成31(2019)年3月に文部科学省から発行され、全国の教師がバイブルのように持っている『食に関する指導手引』の『給食指導』の指導例の中に『いただきますのあいさつをする』とは書かれていますし、それ以降、手引き内容に更新はありません」

また、千葉市教育委員会の保健体育課の担当者も「2023年にそのような事案が小学校から報告が上がった経緯はない」とし、こう答えた。

「給食に関する報道はひと通り目を通すようにしています。私もそのWEBメディアに上がっていた『いただきます任意化』という記事は見ました。しかし実際に2023年に宗教的な配慮で任意化したことは事実として把握していません」

写真はイメージです(PhotoAC)
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在留外国人が過去最多を記録するなど、学校にはかつてより多様な児童・生徒が集まる。そんな状況では、その学校ごとにさまざまな対応が求められるのだろう。

しかし「いただきます」の“廃止”や“任意化”について県も市も「把握していない」と回答し、事実としては確認できなかった。