客単価が1万円以上の高級飲食店は「売上げはまったく減ってないです」
ただ、こうした影響は飲食店の価格帯によっても異なる現状があると前出のAさんはいう。
「食べ歩きの店とか入りやすい飲食店は中国人観光客が減っているいっぽうで、予約制の高級店とかはまったく変わらないと聞いています」
その言葉通り、築地で客単価が1万円以上の高級飲食店店長のCさんは「売上げはまったく減ってないです。うちは団体の予約はお断りで、個人のお客さんが多いから。中国人のお客さんが多いけれども、普通に今週もいるし、今日も来ているよ」と話した。
さらに価格が中堅クラスの飲食店の店長Dさんも同調する。
「うちはお客さんの7、8割は中国人ですが、正直まったく変動はありません。オンシーズンでないことと、ツアーではなく個人旅行で来ているお客さんが多いからではないかと思います。食べ歩きの店とかはツアー客が多いから減ってるんだと思いますよ。
ただ、このままオンシーズンとなった場合、正直怖いです。12月末までとされる渡航自粛要請が延長される可能性もありますし、今対策を考えています」
11月のこの時期はオフシーズンで来客に占める中国人の比率が高くないため今は大きな影響は出ていないものの、ツアーの団体客が増える春節などを規制が直撃すれば大変なことになると心配する声は目立った。
浅草の鰻店の女性店員Eさんもそのひとりだ。
「うちはお客様の6、7割が外国人観光客で欧米と中国が半々といった印象です。この1週間、確かにお客さんは減りました。実際には中国の方は半減したのではないのでしょうか。
とはいえ、今は他の外国人観光客の方もお金をいっぱい使ってくれているので大きいダメージではないです。これはオフシーズンだから大丈夫なわけで、オンシーズンの場合には対応策を考えなければなりませんね」
日本経済に打撃を与えたい中国政府や影響を少しでも和らげたい日本政府、やきもきする観光業界とは違う目でこの事態を見ている人もいる。
インバウンドの増加がもたらすオーバーツーリズムに悩む観光地の地元住民だ。
京都市の主婦Fさんは「このまま中国から観光客が来なくなってもいいと思います」と話す。
「京都はコロナ前から大きな荷物を持ってバスに乗る外国人が増え、住民が乗れないんです。コロナの時にほとんど来なくなって静かな生活に戻ったんですけど、その後は前よりもひどくなりました。
中国と揉め始めてからも大して状況は変わりません。有名観光地ではライトアップもしているので、夜は特にバスに乗れません。アジア系の観光客の比率がちょっと減った気もしますが、気のせいかもしれず、相変わらず多いです。
だいたい観光客が増えても潤うのはごく一部の観光業界だけで、住民にいいことはなんにもありません」(Fさん)
ただ、中国が経済交流を締め付けてくれば影響は観光業界だけではすまなくなる。南アフリカで開かれたG20ヨハネスブルグ・サミットには高市首相と中国の李強首相が出席したが談判の場はなく、打開の見通しはない。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













