ホタテの村の漁協関係者は取材に「話したくない」 

中国はすでに日本からの輸入制限にも踏み込んできた。東京電力福島第1原発の処理水放出に反発して禁止された日本産水産物の輸入が今月上旬、約2年ぶりに再開されたばかりだったが、これをまた停止した。さらに、日本産牛肉の対中輸出再開のための政府間協議にも応じなくなった。

外交部は高市首相発言が水産物輸入停止の理由であることを否定せず、毛報道官は中国には日本の水産物を受け入れる「市場はない」と明言する。

2年前の輸入禁止で大きな影響を受けたホタテの産地、北海道・猿払村でも関係者の口は重く、取材を申し込むと「話したくない」と怒り始める漁業関係者が多い。

60代のホタテ漁業関係者が、“絶対匿名”を条件にようやく話を聞かせてくれた。

ホタテ(写真/PhotoAC)
ホタテ(写真/PhotoAC)

「今年はホタテが高値で動いていますが、異常気象の影響か生産量が落ちているので、値が2倍近くもあがっている市場も。そこに中国の措置がどれだけ追い討ちをかけるか、なんとも言えないです。

猿払村はかつて『貧乏見たけりゃ、猿払来い』と言われていたように、貧しかった。それが、今のように(豊かに)なった。2024年の市町村別所得ランキングで全国16位にランクインするほどです。それが逆戻りするんじゃないか、というのが懸念の対象です」

中国は尖閣諸島沖の漁船衝突めぐって日本と対立した2010年には、レアアースの対日輸出規制も行なっている。日本には食品も多く輸出しており、これに手をつければ歯止めのかからない円安も相まって日本国内の物価がさらに上がるのは必至だ。中国は圧力をどこまで強めるつもりなのか――。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班