ニセコの町議は平静を装うものの…
外交パフォーマンスだけではない。中国は日本旅行を控えるよう自国⺠に要求している。その影響を中国人観光客に人気が高い北海道・ニセコ町の関係者にたずねると、口をつぐむ人が目立った。町議会関係者は、
「今はスキー場がオープン前なので、観光客自体がいません。影響があったかどうかの話は出ていません」と平静を装ったが、「ホテルではキャンセルが相次いでいるようですが」と口を滑らせた。
中堅旅館の経営者は声を潜めて町の空気を話す。
「ニセコはオーストラリアや香港、シンガポール、アメリカのお客さんが中心だったところに2010年代後半から中国本土の富裕層が急増しました。春節(旧正月)にはスイートルームに長期滞在し、ガイドもつける高級パッケージの客も多く来ます。こうした富裕層が消えると高級宿が先に痛むことになります。
ウチはこの時期、中国の旅行会社からの予約が殺到しますが、現在2、3件しか来ていません。(中国政府の)自粛要請の波がこれかなと気づき始めています。懸念しかありません。電話すると外国語でアナウンスが流れるような大手さんは絶対答えませんよ。インバウンドという太客のことで変に答えると干されてしまいますから…」(旅館経営者)
大手ホテルの一つは「予約はちょこちょこ入っていますが中国人かどうかはわからないんです。海外の方々は宿泊予約で登録する携帯電話番号が適当だし…」と、説明がつかない話で質問を遮った。
いっぽう日本旅行に対する中国側の雰囲気はどうか。北京の日本人留学生が話す。
「中国のSNSでは日本のニュースが上位にあり厳しい意見が見られます。特に高齢層で日本のイメージは確実に悪化していると思います。旅行先として日本は安くて安全でエンタメの魅力があり人気ですが、旅行先は他国にも国内にもいくらでもあります。キャンセルは状況が変わらない限り増え続けると思います」(留学生)













