「短時間仮眠」で脳にレバレッジをかけろ

残念ながら、私たち人間の集中力は持続性に乏しい。前日たっぷり睡眠を取っていようが、体力があり余っていようが、高い集中力をキープできるのはせいぜい3時間程度だ。集中状態はそれだけ消耗が激しいのである。

だから朝のうち快調だった仕事も午後にはどうしても失速する。いくらパソコンを睨んだところで空回りだ。指が止まる。思考が鈍る。捗らない。疲労感ばかり募っていく。

あなたもそんな歯がゆい思いは何度も経験済みだろう。日常茶飯事かもしれない。なかにはエナジードリンクや濃いコーヒーを流し込んで自分を奮い立たせる人もいる。まさにムダな抵抗だ。ムダじゃない?飲むと頭が冴える?それは錯覚である。

脳が疲弊した状態で砂糖やカフェインを摂ってもパフォーマンスの改善は期待できない。科学的にそう立証されている。コーヒー片手に無理やりパソコンにかじりついてもろくな成果は出ないのだ。

では、集中力が尽きたらお手上げなのか。打つ手なしか。そんなことはない。とっておきの方法がひとつある。「パワーナップ」だ。

パワーナップとは20分程度の短時間仮眠のことである。ようするに昼寝だ。たかが昼寝と侮ってはいけない。たかが昼寝で脳のパフォーマンスは劇的な回復を遂げるのだ。

写真はイメージです  (写真/shutterstock)
写真はイメージです  (写真/shutterstock)

パワーナップの効果はさまざまな研究で証明されている。たとえばNASA(アメリカ航空宇宙局)の実証実験によれば、平均約15分の昼寝を取った被験者グループは、そうでない被験者グループに比べて認知能力が34%、注意力が54%も向上したという。

パワーナップにより作業効率は大きく改善される。集中力が尽きて悪あがきする暇があるなら、さっさと仮眠を取ろう。

睡眠には、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)という2つの状態がある。人間は入眠して20分ほど経つと軽度のノンレム睡眠に至る。ノンレム睡眠では脳に蓄積されたさまざまな情報の整理がなされ、余計な情報は取り除かれる。つまり疲労の元凶が消去されるわけだ。

スマホやパソコンを再起動すると、キャッシュメモリが除去され、動きが一気に軽くなる。それと一緒だ。パワーナップによって脳は本来のパフォーマンスを取り戻すのである。