藤田氏を「馬場の威を借る茶坊主」と呼ぶ人も…
藤田氏の抜擢のウラにあったのが、当時の馬場伸幸代表(60)との深いつながりだ。
「馬場氏への忠誠心は極めて高く、藤田氏自身、『(スピード出世は)馬場さんの飲み会の誘いを断らなかったから』と冗談交じりに周囲に話していた。国会で馬場氏を念頭にしたヤジが飛んだときには、『いらんこと言うなよ、ほんまに』と色をなしてブチ切れた。あまりのゴマすりぶりに、党内では藤田氏を“馬場の威を借る茶坊主”と呼ぶ人もいます」(維新秘書)
藤田氏の後見人的存在の馬場氏は、維新国会議員の重鎮であるが、橋下氏とはかねてより折り合いが悪い。馬場氏はもともと自民党の堺市議の出身で、松井一郎元大阪府知事(61)と関係は深いとされる。ただ、「府議経験はなく、橋下氏と大阪の改革をともにした経験はない」(維新府議)。
“身を切る改革”を信条とする橋下氏は、維新国会議員団が政策活動費名目で支出してきた高額な飲食費を批判、馬場執行部を念頭に、「永田町の飲み食い政治」と糾弾してきた。
そんな藤田氏だが、幹事長時代に『40代政党COO 日本大改革に挑む』という自著を党のチラシで宣伝したこともあったという。
「党のチラシに藤田氏の本の宣伝が入っていたので驚きました。維新の秘書団が動員され、JR新橋駅前でこのチラシを配布したこともあり、『藤田さんは、ベンチャー起業家出身をアピールしたいのか何なのかわからないが……』とひんしゅくを買っていました」(維新関係者)
その後、馬場執行部は2024年に退陣し、吉村洋文共同代表(50)と前原誠司前共同代表(63)の体制となった。しかし、2025年の参院選後で7議席の獲得に終わると、馬場氏に近いメンバーが代表選を求める署名活動を開始。事実上の“前原おろし”とも言われた。
「今年8月に発足した新体制では、藤田氏が共同代表に就任。馬場氏と近い遠藤敬国対委員長(57)が復帰するなど、“馬場派”の復権を印象づけました。橋下さんは“馬場一派”が維新をダメにしたと思っているふしがある。面白く思っていない面はあったのでしょう」(前出・維新府議)
維新は所属議員の不祥事の多さで知られてきた過去がある。それは、今やタッグを組む自民党にとってもリスクとなり、高市政権の支持率に影響しかねない。維新トップを巡る重大疑惑は、不吉な予兆を感じさせる。
高市早苗総理(64)に近しい自民党の閣僚経験者は、「政権の支持率が高いうちに解散総選挙をしたほうがいい」と焦りを募らせている。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班














