行列から抽選へ、変わる購入手段

土曜の朝、一部のアパレルショップ前には長い行列が。

東京の原宿・渋谷・代官山といった街では、昔からよく見られた光景だ。列をつくるのはブランドの新作発売を心待ちにする純粋なファッション好きだけではなく、人気のアイテムを手早く押さえ、数時間後にはフリマアプリに出品しようと目論む転売ヤーの姿も少なくない。

様々な思いが交錯する現場では、トラブルが報じられることがあったが、行列をめぐる混乱は近年少しずつ落ち着きを見せている。転売や行列と聞けばまず思い浮かべられるシュプリームを例に挙げよう。

シュプリーム原宿店 写真/Shutterstock
シュプリーム原宿店 写真/Shutterstock

シュプリームの毎週土曜11時のドロップ(新作を小出しにリリースする販売手法)は、かつては早い者勝ちが基本で、発売前日からの行列が常態化していた。だが現在では当日の店頭で入店をめぐる抽選が行われるため、極端な行列は姿を消した。

人気のスニーカーなど、混雑が予想されるアイテムの発売時には抽選販売や入場整理券を併用するケースも増えている。

例えば日本の人気ブランドのオーラリーは、コラボや注目作の発売時にオンラインではWEB抽選を実施。

ここ数年で一気に人気ブランドになったエンノイのようなオンラインのみで販売を行うブランドでも、WEB抽選販売がしばしば採用される。

また、新作の発売日に行列があった場合、アプレッセや、コモリといったブランドは当日の状況に応じて入場整理券配布を実施している。

トラブルが絶えない“行列”から運と情報戦の“抽選”へ、混雑緩和と公平性確保を狙う運用が広がりつつあるのだ。だがメンズの人気ブランド服が欲しくてもなかなか買えない状況そのものは、依然として変わらない。

むしろ水面下の争奪戦は激しさを増しているようにすら感じられる。それはなぜなのだろうか?