ポケビと猿岩石の快挙
「とんねるず&フジテレビ」が越えられなかった壁を乗り越えたのが「ウッチャンナンチャン&日本テレビ」のタッグだ。バラエティ番組『ウッチャンナンチャンのウリナリ‼』から生まれたユニット・ポケットビスケッツ(通称「ポケビ」)のシングル『POWER』(98年)が1位を獲得している。ポケビには「ライバルユニット(ブラックビスケッツ・通称「ブラビ」)との対決企画」「視聴者に購入を煽る流れ」があったが、野猿にはなかった。その結果、野猿は「ミリオンセラーと1位」がなく、ポケビは「ミリオンセラーが2作、最高順位は1位」という結果が出ている。
ポケビはデビュー時、番組のエンディングテーマをめぐっての対決に勝利。セカンドシングル『YELLOW YELLOW HAPPY』(96年)の発売時は「デビューシングル『Rapturous Blue』の最高20位に届かなかったら解散」という条件を乗り越え、活動の継続が決まった。
このチャートを利用したCD購入煽り企画は、同じ日本テレビ系の番組『進め!電波少年』の中で過去に展開されていたものだった。ポケビのデビューからさかのぼること3年、番組から生まれたアイドル「電波子」のデビューシングル『駈けていく少女』(93年)が発売された。
その際、「20位以内でヌード」という企画が発表された。これは「20位以内に入らなかったらヌード」ではなく「20位以内に入ったらヌード」という意味。「こんなロクでもない番組の企画をきっかけに生まれたアイドルのデビュー曲がオリコン20位に入るわけがない。でも、入っちゃった日にはヌードだよ」というニュアンスだ。
そして結果は27位。『進め!電波少年』の注目度は高まりつつあったものの、番組がはじまって1年ほどというタイミングだったので、まだ影響力はなかった。この3年後の96年、有吉弘行と森脇和成によるお笑いコンビ・猿岩石の「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」で注目度が大きく跳ね上がったのだが、その頃行われていたのが前述のポケビの企画。「最高20位に届かなかったら解散」という、電波子とはまったく種類の異なる企画だ。
余談だが、猿岩石は藤井フミヤ、藤井尚之が作詞作曲を手掛けた『白い雲のように』でデビュー。累積113万枚を売り上げたが最高3位だった。この曲もポケビ、ブラビ同様ロングセラーによるミリオンヒット。番組視聴に加え、番組を見ていない層が楽曲のよさを感じた時、テレビ番組発の歌はロングセラー&ビッグヒットになりやすいようだ。













