立てこもり中の“母子の会話”
事件当夜、青木被告は母親を人質にし、自宅に立てこもった。
母は被告に「一緒に死のう」と語りかけたが、彼は「嫌だ」と冷たく突き放したという。
立てこもり中、青木被告は「ぼっち扱いされた」「集団から排除された」と語ったとされる。
被害者意識に満ちたこれらの言葉の裏には、長年の孤立と、家庭内の支配的関係が見え隠れする。
母の存在は唯一の絆でありながら、同時に強い束縛でもあった。
その歪んだ依存関係が、事件の引き金の一つになったと見る専門家も多い。
「異次元の存在」発言は、妄想か、逃避か
9月の裁判で青木被告は、最終陳述で初めて「黙秘」以外の言葉を発した。
「私は異次元存在から迫害を受けて人を殺して死刑になるために来た。もう二度とプレイしない。被害を受けた人たちには埋め合わせがある。中の人たちを傷つけて申し訳ない。ここは私にとって仮想空間なのでプレイという表現になった」
精神鑑定では妄想傾向が認められたが、長野地裁は「犯行は計画的で冷静さを保っており、完全責任能力がある」と判断。心神衰弱の主張は退けられた。

裁判長は「被告人の刑事責任はあまりにも重大といわざるを得ないのであって、死刑の選択を回避すべき事情は見出すことができなかったものである。被告人に対しては、死刑をもって臨む以外にない」などと述べたという。
4人の尊い命が奪われた現実は、いかなる理由でも正当化できない。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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