今すぐ実行すべき四つのステップ

私の提案はシンプルだ。

◼️中学2年生の健康診断で全員検査
すでに実施されている尿検査の検体を使えば、追加負担は数百円の検査代のみですむ。さらに、陽性者には便中抗原などの追加検査を行い極力、偽陽性(本当はピロリ菌がいないのにいると判定されてしまうこと)を減らす。

◼️陽性者への除菌治療を完全無償化
最新のP - CABベースの3剤併用療法なら、1週間の服薬で90%以上の除菌成功率。

◼️段階的全国展開と効果測定
まず10都道府県でモデル事業を実施。データを収集し、3年以内に全国展開。

◼️家族も含めた包括的対策
陽性の生徒の家族にも検査を推奨。家庭内感染の連鎖を断ち切る。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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中学生から始まる医療革命――「胃がん撲滅」は夢じゃない

この政策の意義は、単に胃がんを予防することだけではない。

日本の医療が「治療中心」から「予防中心」へとパラダイムシフトする、その第一歩になりうるのだ。中学生のピロリ菌検診が成功すれば、他の予防可能な疾患への対策も加速するだろう。

何より重要なのは、今の中学生たちに「胃がんで死ぬ必要なんてない」という未来を約束できることだ。彼らが大人になる頃には、胃がんは「昔の病気」になっているかもしれない。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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私は確信している。中学生でのピロリ菌対策を徹底すれば、将来の胃がんは80%削減できる。

問題は、この明確な解決策を前にして、なお動かない日本の意思決定システムだ。データも技術も経験もある。足りないのは、実行する勇気だけだ。

毎年3万8000人が胃がんで亡くなっている。その多くが予防可能だった。この事実を前に、「今までどおり」でいいはずがない。

中学生のピロリ菌検診は、日本が本気で国民の健康を守る国になれるかどうかの試金石だ。既得権益や前例主義を打ち破り、データに基づいた合理的な政策を実行する。それができなければ、この国に未来はない。

ピロリ菌は中学生のうちに叩け。それが、胃がん撲滅への確実な対策なのだ。

文/堀江貴文

『日本医療再生計画 国民医療費50兆円時代への提言22』(幻冬舎新書)
堀江貴文 (著)
『日本医療再生計画 国民医療費50兆円時代への提言22』(幻冬舎新書)
2025/9/25
1,056円(税込)
184ページ
ISBN: 978-4344987838

誰のための医療か、何のための制度か──
構想10年、ホリエモンが旧態依然とした医療制度にメスを入れる!
健康は自分たちの手で守れ。
「予防」を起点にした、合理と科学で組み直す医療の未来。

2016年に予防医療普及協会を立ち上げた堀江貴文が、専門家や現場の医師と共に構想した22の改革提言。
健診データの一元化、ワクチン政策の再設計、延命医療や保険制度の見直し、教育現場での予防知識の導入──どれも今すぐ始められる現実的な策ばかりだ。
感情や前例主義ではなく、科学とデータに基づいた合理的な選択が求められている。
本書は、次世代に誇れる医療を築くためのアップデートの設計図である。

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