母の強い勧めで始めた中学受験
関東近郊の県で生まれたタツヤさんは、会社員の父親と教育熱心な母親のもとで育った。幼少期から勉強が好きで、学校の成績も良かったタツヤさんに、母親は中学受験を勧めた。
「勉強が得意だったこともありますが、地元の中学があまり落ち着いた学校ではなかったんです。地元の中学に入ったら人間関係で苦労すると心配した母が、中学受験を決めました」(タツヤさん、以下同)
母親の勧めで、タツヤさんは小学3年生の2月から少人数制の塾に入学。中学受験の勉強を始めた。
「普段は夜の9時まで塾で勉強して、家では父に算数を教えてもらっていました。母親は怒ると感情的になるタイプで、勉強をしないときや成績が上がらないときは、ヒステリックに怒られました」
勉強が得意だったタツヤさんだったが、中学受験を進める中で算数の壁にぶち当たった。点数がなかなか伸びず、苦手意識を持つようになったのだ。中学受験では算数の成績が全体の成績を左右するケースが多い。タツヤさんは苦手な算数に苦戦しながらも、ほかの教科で点数をカバーした。特に得意だった社会が4教科の偏差値を押し上げた。
日々勉強に励む中で、タツヤさんの母親は都内にあるA中学を志望校として決めた。
「母が中学受験のイベントでA中学の生徒の話を聞き、穏やかな校風にひかれたようです。内部進学率も高く、自分のペースで6年間過ごせるだろうということでした」
A中学は都内にある偏差値60前後の難関校だ。タツヤさんは苦手な算数に最後まで苦戦しながらも、毎日コツコツと勉強を続け、無事志望校に合格した。
合格の知らせを聞き、安心しきった母の顔は今でも覚えている。