「ChatGPTで出力した文章がなんだか読みにくい……」AI文章が“つながらない”理由は「接続詞」にあり?
生成AIの普及により、誰でも簡単に文章を生成できる時代がやってきた。だが、生成された文章にはどこか「ぎこちなさ」が残ることが多い。その原因のひとつが、接続詞の扱いである。「だから」「しかし」「ところで」といった接続詞が、文と文の“つながり”を整え、読者を迷わせない道しるべになる。
『生成AI時代にこそ学びたい 自分で文章を書く技術』(マイナビ出版)から一部抜粋・再構成してお届けする。
『生成AI時代にこそ学びたい 自分で文章を書く技術』#2
接続詞は「ないと道に迷うシーン」でだけ使うべき
さて、ではこのルールをすべての局面に適応すれば、わかりやすく、素敵な文章になるのでしょうか。私は違うと思います。
接続詞は不要なものは削除しつつ、「ないと道に迷うシーン」でだけ使うべきなのです。道路案内でも100メートルごとに「このまま直進」と出たら煩わしいように、「そのままでOK」を示す順接は、省略可能なケースが多いのです。
「この書籍は面白い。すごく売れています」。接続詞を排除しましたが、これで道に迷う人はいません。では、逆接はどうでしょう。「この書籍は面白い。松井某は面白味に欠けます」となってしまっては、文章として言いたいことが不明瞭ですよね。「この書籍は面白いんだけど松井はちょっとなぁ……内容はまあ面白いんだけどさぁ」という書き手の逡巡が、道しるべとしての「しかし」に込められていたわけです。
ふたつ前の段落の冒頭で使った「さて」はどうでしょう。これは「転換」の接続詞です。これまでの流れを汲んで次の話題に行く区切りの役割で、順接の意味が強いため、省略できます。
では、もうひとつの転換の接続詞「ところで」はどうか。そこで区切りがついたという気持ちを必ずしも感じさせないワードで、「ところで、その考え方は間違っていないでしょうか?」など、やや逆接のニュアンスを含みます。もしくは「まったく違う話題(予想できない話題)へ切り替える」合図でもある。その意味で、「ところで」の削除は難しいのです。
流れに乗っている文章では接続詞を省略してよい/予想外の文章をつなぐ場合は接続詞が必要。これが大まかなルールです。文章生成AIを用い、出力された文章を結びつけて長文にする場合、こうした接続詞の存在が、その文章の読みやすさを左右する道案内になるのです。これは、ここ数年で得られた新しい「気づき」でした。
このイラストのように「だから」「したがって」は、あるとくどいケースが多いです。多用することで、文章から軽やかさ、滑らかさが失われ、文章が妙に暑苦しくなることもあります。文章生成AIで生成した文章を長文にする際は、順接の接続詞はリズムを整える程度の利用が吉でしょう。ただし本文で触れた通り、路線変更の「逆説」は削除しないように。文章が途端に破綻することになります(イラスト/『生成AI時代にこそ学びたい 自分で文章を書く技術』より)
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■まとめ
・AIで生成された文章はぶつ切れ。長文を作るためには「接続詞」が重要となる。
・接続詞は道しるべ。これを見れば、文章はどんな方向に進むのかわかる。
・流れに乗っている文章では接続詞は不要。予想外の文章をつなぐ場合は接続詞が必要。
文/松井謙介
『会社や学校では教えてくれない 文章力向上の鉄板ルール 生成AI時代にこそ学びたい 自分で文章を書く技術』(マイナビ出版)
松井謙介 (著)
2025/9/24
1,980円(税込)
208ページ
ISBN: 978-4839990275
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生成AIの進化により、議事録やレポート、マニュアルといった事務的な文章は効率的に自動化できるようになりました。しかしビジネスの現場では、それだけでは不十分。企画書や提案書、人材募集文、オウンドメディアの記事など──人の感情を動かし、行動へとつなげる文章には、書き手自身の思考や意見、そして「相手にどう動いてほしいか」という意図が不可欠です。
最新のAIは流麗な文章を生み出し、表現力も増しています。しかし、「誰に向けて、何を伝えるのか」という視点は、人間にしか持ち得ません。読み手を意識し、関係性を踏まえて言葉を選ぶことこそが、成果を生む文章の鍵なのです。
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