SNSと政治は切り離せない関係だが…
「知らなかったとはいえ、申し訳ない。最終的な責任は私にある」
小泉氏は9月26日の閣議後会見で、「週刊文春」が報じた“ステマ問題”についてこう謝罪した。小泉選対の「総務・広報班」班長だった牧島かれん元デジタル相(48)の事務所が、動画配信サイト上で、小泉氏には擁護のいっぽうで、他候補には中傷するような内容のコメントをするように、陣営関係者に依頼していた問題だ。
ヤラセであることを隠してコメントする行為は、“ステルスマーケティング”的な手法であり、「選挙の公平性を害する」として批判を呼んでいる。牧島氏は辞任したが、小泉氏はその後も、この問題についての謝罪を余儀なくされている。
あまりにお粗末だったが、総裁選に関わっている自民党のベテラン秘書は「各陣営とも濃淡はあれども、ネット戦略に注力している」と明かし、「小泉氏は大規模なネット会社を使っていると聞いていたが、牧島事務所がやからした。こんなボロが出るとは……」と指摘した。
振り返ると、昨年の総裁選では、高市陣営に、選挙プランナーの故・藤川晋之助氏が支援に入っていた。
藤川氏は都知事選で、元安芸高田市長の石丸伸二氏の選対事務局長を務め、ネット戦略と積極的な街頭活動を組み合わせ、初出馬ながら2位に導き、「選挙の神様」と言われた人物である。
その藤川氏は昨年9月17日に掲載された「産経新聞」電子版で、高市氏支援を明かし、「選挙参謀ではないが、告示前から陣営にアドバイスしている。SNSや動画投稿サイトの部隊を動員するなどして党員・党友票(地方票)の獲得に取り組んでいる」と明かしていた。
藤川氏は今年3月に急逝されたが、「今回も高市陣営や林陣営にはそれなりの専門家がいます」(前出・ベテラン秘書)という。
今年7月の参院選で、参政党や国民民主党などネット戦略に長けているといわれる政党が躍進したように、もはやSNSと政治は切り離せない関係だ。
ただし、当然ながら、今回の小泉陣営のように、ステルスマーケティングまがいの“汚い手”を使えば、逆効果になりかねず、諸刃の剣といえる。
それでも、進次郎氏を支援する自民議員は楽観的に見ている。
「自民党員は、地方の高齢層が多いから、“ステマ問題”や“SNS”と言われも、今ひとつピンときてないのが実情ではないか。これで高市氏に風が吹くことはないだろう」
今回の総裁選で投票権を持つ自民党員は約91万人だが、これは昨年9月時点の105万人超と比べ、13%も減少している。新規党員が少なく、高齢化が進んでいるとの指摘もある。
9月22日の告示直後に投票ハガキが発送され、郵便の締め切りは10月3日までだが、「届いたらすぐ出す人が多い」(同前)という。こうした中で、ステマ問題から充分に“逃げ切り”が可能というわけだ。