“政界の119”は「“頭の高いところ”が出てしまった」
別の自民党ベテラン議員も「やらせを言い出したら、茂木敏充元幹事長(69)の突然の子ども食堂訪問だって、“ヤラセ的”でしょう。やはり、所見発表演説会で奈良の鹿問題について語った高市氏への警戒感の方が自民党内でも強い。ただ、“高市批判”をすると、ネット上で叩かれるのでみんな表立って言わないだけ」と語る。
小泉、高市氏を追う形の林氏にしてみても、9月18日のインターネット番組・Abema Primeで「石破退陣は必定」「(石破政権の2万円現金給付案は)私だったらやらなかった」「首相報酬は安い」などと発言。官房長官として石破茂総理(68)の“女房役”だったにも関わらず、容赦ない発言をしている。
閣僚経験が豊富で“政界の119”として安定感のある答弁がウリだったはずが、「名家出身でエリートな林さんは、“頭の高いところ”があると言われてきた。それが出てしまった」(林氏周辺)。
元大蔵相の父を持ち、地元でグループ企業を経営する名家に生まれた林氏は、出身母体の旧宏池会を中心に議員票を積み上げている。ただ、「意外と側近は見当たらず、親戚にあたるという1年生議員の広瀬建衆院議員がせっせと働いている印象」(同前)という。
また、旧宏池会の領袖・岸田文雄元総理(68)とも、「今ひとつソリがあわない」(同前)のも懸念材料だ。
こうした中で、前述の読売新聞の報道によれば、国会議員では、小泉氏支持が71人、林氏が52人、高市氏が38人という結果だった。さらに9月27~28日に行われた調査によれば、自民支持層のうち「党員・党友」と答えた519人のなかで、もっとも支持が多かったのが小泉氏で41%、続いて高市氏28%、林氏13%だったという。
高市氏が議員票を積み増すには、麻生派の組織的支援が不可欠だが、小泉氏選対関係者は「麻生(太郎)さんも、再び非主流派になるリスクを背負ってまで、前回のように高市さんに“全乗り”することはないだろう」と見ている。
自民党の参院ベテランも「参院票も現状では、小泉が35、林が30前後、高市票は20ちょっとというところだろう」と指摘する。
果たして、小泉氏の“逃げ切り”となるのか――。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班