朝ドラ新規流入者が今作で急増か

『あんぱん』放送当初には、RADWIMPSの主題歌の『賜物』が話題となり、最終回の終盤でも挿入歌として流れたが、耳慣れない歌詞にSNS上では〈アレンジ曲?〉〈歌詞にあんぱんの真髄が込められている〉などの声が相次いだ。

「主題歌って難しいんですよ。朝ドラでよくあるのは、物語中に主題歌をオルゴール調やテンポをゆったりにして挿入歌やBGMとして流す役割を担うことは多いんです。特に今回の主題歌『賜物』は2番目以降の歌詞がとてもいいので、物語序盤からバンバン使ってほしかったですね」

と評価した。さらに全130回の物語のハイライトも聞いてみた。

「やはり日中戦争で次女・蘭子の婚約者である豪ちゃんが死んだシーンです。あそこで蘭子に力を入れて描いたことで期待値が一気に高まりましたし、軍国少女のヒロインが戦後どう変わっていくのかも見どころとなりました。

あとは高知新報時代の結ばれるようでなかなか結ばれない2人のもどかしさも、見ていて楽しかったです」

最後に、今作の意義について半澤さんはこう振り返る。

「今回の朝ドラは、国民的に知名度の高いやなせたかしさんがモデルだったこともあり、『初めて朝ドラを見た』という人が非常に多かった印象です。“超”有名人をモデルにしたことで、朝ドラの新規流入者を増やした作品でもありました。この流れで、次回の『ばけばけ』も、一緒に楽しみましょう」

2人の「逆転しない正義」に行き着くまでの物語はついに完結。次回作『ばけばけ』は、“怪談”でつながる異文化夫婦の物語というが、どんなドラマが半年間で描かれるのか。期待したい。

取材・文/木下未希

やなせたかしをモデルにした嵩
やなせたかしをモデルにした嵩