「今田美桜ってこんな可愛かったっけ⁉」
今作は、主題歌や戦争シーンの長尺など、“異例尽くし”とも言われたが、半澤さんいわく、最も“異例”だったのはどの部分なのか。
「一番、“攻めている”と感じたのは、ヒロイン像だったと思います」
戦後80年の節目の年に放送された今作。ヒロイン・のぶは、物語前半、女子師範学校で“愛国の鑑”と呼ばれる軍国少女となり、教師になった後も軍国教育をおこなうというヒロイン像が描かれていた。
「“好かれて当たり前”の朝ドラヒロインが多い中、ここまで嫌われたヒロインは初めてだったのではないでしょうか。軍国少女時代はある種、ヒール役のような立ち位置にもなり、視聴者に寄り添うわけでもなく、嵩に対しても当たりがきつい。次女・蘭子のファンも多かったことから、今田美桜さんにとっては過酷な脚本だったのではないでしょうか」
ヒロインを務めた今田美桜も、軍国主義を掲げていた戦争時のシーンについて「撮影の時は、私自身も複雑な思いを抱えながら演じました」と振り返っている。
「だから、放送終了後の『朝イチ』や『世界陸上』で通常時の今田美桜さんを見たとき、『えっ…、今田美桜ってこんな可愛かったっけ⁉』って無駄に驚いたんです。それぐらい僕らは『あんぱん』ののぶを見過ぎてしまっていたし、フィルターをかけるほどの演技をしていたということ。今作の脚本が今田美桜という女優の魅力を十分引き出していたかは疑問ですが、今田さんの女優としての株は間違いなくあがったと思います」