プロレス人気のW字回復
僕が所属し、社長を務めることとなった新日本プロレスはアントニオ猪木さんが創設した会社で、現在は大手カードゲーム会社ブシロードのグループ企業となっている。
社員数は約80人、所属レスラー約50人。これは間違いなく国内最大のプロレス団体といえる。
そんな新日本プロレスは2019年に設立以来過去最高売上高を記録した。前年比10.7%増となる54億1600万円、これが2019年7月期の売上だ。年間観客動員数は43.6万人にまで増え、満員率は約95%。後楽園ホールなどはFC先行だけで完全に席が埋まってしまう状況だった。
だけど2020年、コロナ禍とともに新日本プロレスは苦境に立たされた。年間観客動員数は2021年に17.9万人とコロナ禍前の41%まで減少。
新日本プロレスはまさに苦境の中にある。
そんな今、僕はこの新日本プロレスの社長へと就任することになった。僕はこのタイミングで社長を任されたことには絶対に意味があると思っている。
IWGPヘビー級戦線の最前線にいた時に、僕はプロレス人気をV字回復させることができた。だけど自分たち以外の原因……コロナ禍という外的要因によって、再び下がってしまった。だからもう一度人気をV字回復……つまり僕の好きな仮面ライダーWのように、まさにW字回復させるのは社長としての僕の役割だと信じている。
少しずつ制約がなくなり、みんなが、そして社会が動き出した今こそプロレスを僕は盛り上げたい。だから今こそもう一度、ぜひプロレスを楽しんでもらえるよう頑張りたい。
そしてその先頭にレスラーとして、そして社長として棚橋がいたいのだ。
プロレスのファン層
現在、新日本プロレスのファン層は大きく変化しつつある。
特にここ最近は小さいお子さんのファンも増え、ご家族でプロレス会場に足を運んでくださる方も多くなってきた。かつてプロレスをゴールデンタイムで視聴されていた40代から50代の方が、ご家族様とともに会場に来てくださっているのだと思っている。
それと同時に、会場の男女比もかなり変わってきた印象がある。
かつては男性のファンの方が圧倒的に多かったけれど、現在の男女比は7:3くらいにまで変化してきており、特に後楽園ホールなどではこの比率は6:4から5:5くらいにまでなってきている。女性の方がこうして会場に足を運ぶようになってくださったのは非常にうれしい反面、まだこれから広げていかなければいけないのは若年層のファンの開拓だと思っている。
実際、新日本プロレスの会場には10代のファンの方がまだまだ少ない。
10代の方にプロレスをより身近に思ってもらうためには、やはり若い選手の活躍が必要だ。というのも、10代から見れば40代より30代、そして30代より20代の選手のほうがより身近で、親しみを感じられるのは当然だからだ。
なので、その意味でも社長としては若手の奮起を促し、チャンスを与えていかなければならないと思っている。