立候補の理由「お答えできません」という候補者も

「本選挙はここに至る経過からしますと、市民はもとより全国的にも注目されておりますので適正な管理、進行に向けご協力をお願いします」

9月22日午後、市選管主催の立候補予定者への説明会が伊東市役所で開かれた。会は、異例の経緯で開催が決まった今回の市議選に注がれる目を意識した選管委員長のあいさつで始まった。

9月22日、伊東市役所で行なわれた市議選立候補予定者説明会(撮影/集英社オンライン)
9月22日、伊東市役所で行なわれた市議選立候補予定者説明会(撮影/集英社オンライン)
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定数20の選挙で、説明会には35組の立候補予定者やその代理人が出席した。焦点は議会が解散した時点でゼロだった田久保市長派の市議が何人当選するかだ。

「9月1日に全会一致で不信任決議案が可決されたことで市長は失職か辞職、議会解散を選ぶ必要に迫られ、解散を選びました。この結果10月19日に市議選が行なわれます。

ここでの当選者で構成される次の市議会がもう一度不信任を議決すれば田久保市長は失職しかありません。ただこの議決には三分の一以上の議員の出席で過半数が賛成する必要があります。つまり、7人の議員が採決に参加しなければ阻止できます」(地元記者)

9月10日、伊東市議会解散直後の囲み取材で記者に反論する田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)
9月10日、伊東市議会解散直後の囲み取材で記者に反論する田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)

 このため田久保市長の支持者らは、「7人」の市議を当選させるのが当面の目標とみられる。

その選挙の前哨戦も異例の様相を呈している。説明会では通常、メディアが参加者に氏名や政策、立候補の理由などを取材するが、22日の市役所での説明会では「お答えできません」と答えを拒む参加者が出たのだ。

また市選管関係者は、「35人の立候補予定者かその代理人の方には全員、“きょう説明会に出席したことをメディアに知らせてもいいですか?”とたずねる調査票を配りましたが、5人が“不可”とする返答でした。その方々の氏名は公表できません」と説明する。

9月1日、田久保眞紀市長への不信任決議案を全会一致で可決した伊東市議会(撮影/集英社オンライン)
9月1日、田久保眞紀市長への不信任決議案を全会一致で可決した伊東市議会(撮影/集英社オンライン)

この公表不可の5人のうち、少なくとも一人は田久保氏の有力な支援者とみられることが関係者への取材で分かった。