「今夜は無礼講!!の巻」(ジャンプ・コミックス第22巻収録)

今回は、慰安旅行で訪れた熱海の旅館で、両さんに無理矢理飲まされた本田が、狼藉の限りを尽くして大暴れするお話をお届けする。

さて、本作のタイトルにもある「無礼講」について少し述べておこう。

無礼講には、地位や身分の上下を気にせずに打ち解けて酒宴を楽しもうといった意味合いがある。もともとは酒を伴う神事や儀式を「礼講」といい、それを堅苦しさを除いて行うことから「無礼講」になったという。

また、後醍醐天皇が鎌倉幕府を倒すための密議を、参加者たちの身分がわからないようにして行ったのがその語源という説もある。

ちなみに、仕事に関係した酒宴などで「今夜は無礼講で行こう!」という掛け声があったとしても、あまり真に受けない方がよい。それは上の立場にある者が「皆を気軽に楽しませてあげているオレ」を演じるために、一種のお約束として口にしている言葉でしかない。「無礼」を許容する基準は、それをいった者の胸先三寸、そのときの気分でブレまくるものと考えておかないといけない。

くれぐれも、上司や取引先を立てずに「無礼講」=「無礼」を働かぬようにご注意を。

「兄として…!の巻」(ジャンプ・コミックス第78巻収録)より。弁護士の弟・金次郎と良家のお嬢さんとの結婚披露宴で、勝手に司会進行をはじめた両さんは無礼講を働く。だが、荒々しいながらも笑いと弟への親愛の情に満ちた、記憶に残る宴になった
「兄として…!の巻」(ジャンプ・コミックス第78巻収録)より。弁護士の弟・金次郎と良家のお嬢さんとの結婚披露宴で、勝手に司会進行をはじめた両さんは無礼講を働く。だが、荒々しいながらも笑いと弟への親愛の情に満ちた、記憶に残る宴になった

かつて日本では「酒の上の不埒」、つまり酒に酔っての不届き、不適切な言動を大目に見る傾向にあったが、近年ではセルフコントロールのできないダメ人間として認定されてしまう可能性が大きい。くれぐれも酒に酔っての失態には気をつけたい。

なお、ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』に登場していた恋川春町(こいかわ・はるまち)は、武士にして戯作者(げさくしゃ)だった。そして狂歌の世界でも「酒不埒(さけのうえのふらち)」として名を馳せていた。もともと挿絵絵師としてデビューしたため浮世絵制作の才も優れており、江戸時代中期における文壇の大スター的な存在だったという。

それでは次のページから、両さんと本田が酒宴での無礼講の限界に挑むお話をお楽しみください!!