「シルバー雇用おまかせ!!の巻」(ジャンプ・コミックス第105巻収録)
今回は、両さんが祖父の勘兵衛と組んで高齢者向け格闘ゲームを世に送り出し、大儲けをするお話をお届けする。
本作が描かれたのは1997年。アーケード発のさまざまな対戦型格闘ゲームが家庭用機にも移植されて爛熟期を迎え、家庭用タイトルはハードウェアのスペックアップに伴い、1タイトルあたりのボリューム感が大幅にアップしていた。
ソニーのゲーム機「プレイステーション」は『ファイナルファンタジー』『ドラゴンクエスト』という二大RPG作品を獲得し、熾烈なハードウェア競争に王手を掛けた。
要はゲーム市場全体がピークを迎えていたわけだ。しかしその一方で、子どもや初心者が取っつきにくい娯楽となり、「ゲーム離れ」がはじまった激動の年でもあった……。
そんなタイミングで、新たなユーザーとして「高齢者」に目をつけるとは、さすがは『こち亀』といったところだろうか。
実際、この年には携帯育成ゲーム「たまごっち」が老若男女に受け入れられ、『ポケットモンスター 赤・緑』が口コミから大ヒットタイトルとなり、停滞気味だった携帯ゲーム機市場を、低年齢層を中心に一気に成長させた。
なお両さんは、ゲームでの成功に味を占め、グッズ、アニメ、テーマパーク……と、高齢者向けビジネスを次々と拡張していくのだが……。
『仮面ライダー』が来年55周年を、4年後に『機動戦士ガンダム』が50周年を迎え、初回放送からずっと作品を支持し続けているファンが多くいる時代だ。そして我らが『こち亀』も、来年は50周年を迎える。
高齢者向けゲームや高齢者向けグッズによるビジネスは、本作が描かれて28年後の今、すっかり現実のものになっているといってもいいだろう。
それでは次のページから、時代を先取りした高齢者向けゲームにまつわるお話をお楽しみください!!