連日出没するヒグマ二頭の駆除のために牧草地へ
北海道の夏は湿度が低く、暑い日があっても総じて爽やかで過ごしやすい。山田さんがヒグマに襲われた7月。盆地の滝上町もそれなりに気温は上がるが、天候は曇りで暑くはなかった。そして、一年の中でも昼間がもっとも長い時期だった。
その頃山田さんは、夏季に牧草を刈り取るアルバイトをするくらいで、酪農の仕事はほとんど行っておらず、要請があれば駆除活動を行っていた。
その日の夕方、牧草を刈る作業がちょうど休みだったので、トラックに乗って見回りに出た。いつも走る道で仲間のトラックに会い、すれ違いざまに「またあそこにクマ出とるわ」「なら、やっつけなきゃいかんな」と会話を交わした。午後5時30分ごろに役場に連絡が入り、30代の猟師Sさんと待ち合わせをして2人で駆除を行うことになった。
Sさんのシカ撃ちの腕は山田さんも認める実力だったが、クマ撃ちは経験が浅かった。













