「老人天国!?の巻」(ジャンプ・コミックス第24巻収録)
今回は、両さんが地域巡回の中で立ち寄った銭湯で、老人たちとすごす憩いのひととき?を描いたエピソードをお届けする。
銭湯にいるのは、昼風呂を楽しめる境遇の高齢者ばかり……。この日が「高齢者の入浴料が無料な日」だったこともあるが、要は見事にジイサマばかりだ。すでに仕事をリタイヤしているか、地元で商売をやっている人々なのだろうが、羨ましい限りだ。
なお高齢者の入浴料を無料にする日が設けられているのは、行政による入浴補助制度の賜物。敬老の日である9月15日には、多くの地域で高齢者の入浴料割引・無料化がおこなわれたことだろう。
ところで作中、番台近くの料金表には「通行料 子供百円 大人一万円」などと記されていたが、本当の入浴料はいくらだったのだろうか。
銭湯の公衆入浴料は地域や時代によって異なるが、『こち亀』の連載がはじまった1976年の東京では、大人が120円。本エピソードが描かれた1981年には220円だった。そして連載が終了した2016年には、460円だった。
ちなみに近年では、2023年7月1日からそれまでの500円から20円アップして520円に、さらに2024年の8月1日からは550円へと変更されている。この数年の物価上昇や燃料費の高騰ぶりを鑑みれば、かなり抑えられた値上げ幅といえるだろう。もっとも、これは地域の助成金制度に助けられているからこその金額である。
なお亀有で生まれ育った『こち亀』作者・秋本治先生は、漫画家になるまではずっと銭湯通いをしていたという。近所には、毎日違う銭湯を選べるほど、何軒もの銭湯があったそうだ。
現在でも亀有には、「ゆートピア21」「第一日立湯」「日の出湯」「富士の湯」といった銭湯が営業している。いずれも駅からの徒歩圏内にあるので、聖地巡礼をする際には、ぜひ立ち寄って亀有の湯に浸かってみてはどうだろうか。
それでは次のページから、シニアが集う下町の銭湯での騒動をお楽しみください!!