「これはあなたが共感できる記事です」
②の読者ファーストについては、私も経験があるが、記者に限らず、何らかの文章の執筆者は、自分が最も伝えたいこと、強調したいことを見出しに取りがちだ。気持ちはよく分かるが、それは読者から見ると、どうでもいい。数多く並ぶ記事から一つを選んでもらうためには、選ぶ読者側の視点に立って見出しを考えてほしい。どんな見出しであれば自分が読んでみたくなるか、突き詰めて考えることが必要になる。
③は、見出しの長さと関係している。60字を超える見出しは、見出しというよりもはや文章だとも言える。そのため、読者は見出しすら最後まで読んでくれないかもしれない。
「何についての記事か」が早めに明示されないと、何のことか分からずに見出しを読まされることになり、ストレスを感じて途中で離脱する恐れがある。
一方で、「前のほうに置く」に「できれば」と注文を付けたのは、見出しには何についての記事かを明示するより、考えるべき重要な観点があるためだ。それが④の「読者の感情を動かせる表現」。この点を優先すると、「何についての記事か」は必然的にその後ろに回ることになる。
この④のポイントがなぜそれほど重要なのか。それはデジタル記事の特性を考えれば分かる。ネットで読まれるには「共感」が大切。ストーリー形式にするのも、読者が共感しやすくするためだった。
見出しを考える上でも同じで、共感を求めている読者に対し、「これはあなたが共感できる記事です」と伝えることが重要になってくる。見出しを見た段階で読者の感情が動けば、記事を読んでもらいやすくなる。
では、どういうワードであれば、読者の感情が動くのか。言語化するのは難しいが、これまでに多く読まれた記事の見出しを見ていくと、いくつかのパターンらしきものがある。ここでその一部を紹介したい。