「再結成の可能性は…」 

――元メンバーの石川さんが2023年に内臓疾患で緊急入院。命の危険もあったことから残りの人生に悔いを残したくないと、メンバーに再結成の話を持ち掛けたそうですね。

そうそう、メールがきたんですよ。「練習くらいしてみない?」って。

――どう返事をしたんですか?

絶対無理だと思ってたし、僕もやりたくなかった。でも自分から断るのはイヤだったから返事をせずに静観してました。で、結局ナシになった。

ライブで知久氏、石川氏、滝本晃司氏の3人が揃ったときにたまの楽曲を披露したことが何度かあるが「そのときは同窓会みたいで楽しいけど、演奏はボロボロでやったらやっただけ悔しいから今は断ってます」
ライブで知久氏、石川氏、滝本晃司氏の3人が揃ったときにたまの楽曲を披露したことが何度かあるが「そのときは同窓会みたいで楽しいけど、演奏はボロボロでやったらやっただけ悔しいから今は断ってます」

――95年に脱退した柳原陽一郎さんが断ったそうですね。知久さんもやりたくなかったんですか?

だって解散したんだから。柳原さんもものすごく考えて決心して、僕らに土下座までしてたまを辞めてるのに、その人にまたやろうって失礼じゃないですか。だから今後も再結成はないですね。

――ソロアーティストの集まりであるたまは“自作曲自分ボーカル制”。代表曲『さよなら人類』は柳原さん作曲のため、95年の脱退以降は演奏していないと。

2003年の解散ライブで、泥酔してほとんど無理やりステージに上がってきたワタナベイビーが歌い出しちゃったときに一度やったきりかな。それ以来はやってないはず。

未だにテレビからオファーがきますよ。僕と石川さんで『さよなら人類』をやってくださいって(苦笑)。そういう人たちってほんと僕らに興味がないんだなーって思う。

たま時代の印税は基本的に折半しているが『さよなら人類』に関しては作曲者の柳原氏に入るようにしているという。「カラオケで一番歌われる曲だから、それで柳原さんがウハウハだったらちょっとうれしいね」
たま時代の印税は基本的に折半しているが『さよなら人類』に関しては作曲者の柳原氏に入るようにしているという。「カラオケで一番歌われる曲だから、それで柳原さんがウハウハだったらちょっとうれしいね」
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 ――じゃあもう20年以上も“封印”された状態なんですね。それはそれで残念です。

でも家でひとりで歌うことはあるよ(笑)。だって好きな歌であることに違いはないからね。

取材・文/武松佑季
撮影/二瓶彩