実はロックが苦手
――知久さんはソロ活動のほか、結成30周年を迎えたアコースティックオーケストラバンド「パスカルズ」や、エレクトロニカ集団「macaroom」とのコラボユニット「まかちく」でも活動しています。とくにパスカルズは海外でも高い評価を得ていますね。
バンド名の元になってるフランスのミュージシャンのパスカル・コムラードさんが吉祥寺のSTAR PINE'S CAFEでライブをやったときに、うちのリーダーのロケット・マツが音源を渡したら気に入ってくれてね。
それで向こうのフェスに呼ばれて演奏したら、現地のプロダクションが僕らを見つけてくれて、フランスでツアーを何回か組んでくれました。
――パスカルズはフェス向きの音楽でもありそうですしね。
日本のフェスには呼ばれないけどね(笑)。
――「SUMMER SONIC 2009」には出演してましたが。
それで(同じくたまの元メンバーでパスカルズの一員でもある)石川(浩司)さんが奥さんの水着を着てステージに上がって、キンタマをポロリしちゃったんですよ。
奥さんは「お気に入りの水着だったのに股間が伸びてもう着れない」ってブチギレてた(笑)。
――それでフェスに呼ばれなくなったのかも(笑)。9月には「まかちく」で初のツアーも開催。
macaroomが僕の『電車かもしれない』って曲をカバーしたのを聞いて気に入って声をかけたんです。本当は2020年にツアーをやるはずだったんだけど、コロナ禍で延期になってて、それがようやくできるって感じですね。
――知久さんはアコースティックへのこだわりが強いと思っていたので、エレクトロな楽曲であるこのユニットは意外でした。
アコースティックにすごくこだわりがあるわけじゃないけど、エレキギターは弦が柔らかすぎて弾きにくいのと、もともとロックがそんなには好きじゃないからね。
――そうなんですか⁉
もちろん好きなのもありますよ。でもロックって言葉を信仰してるかんじが嫌いなんですよ。「これってロックだよね」って言っとけばカッコイイみたいなのが大嫌い。
ロックに限らず、これ言っとけばいい、そういう前提でみんながこっち向いてるはずだって考えに、ものすごく抵抗を感じるんです。
石川さんもたまーに言うんですよ。「俺はこう見えてロックだから」とか。僕からするとカッコ悪い(笑)。
――(笑)。ナゴムレコードに所属していたのにロックが苦手とは意外です。
ロックミュージシャンによくいる英語のイントネーションを真似た歌い方は高校生の時から毛嫌いしてましたね。そういう音楽も最近はおもしろがれるようになりましたけど。ああいう人がいるからコントラストとして自分の立場が確保されてるとも言えますし。
僕はメインでドンッってよりも、はじっこが好きなんです。