「バイトをしながらまで続けたいほど好きではなかったから(笑)」

――それは確かに危機的な状況ですね。

やつい でも、そこからがむしろ楽しかったです。事務所の縛りがなくなって、自由になった。そこからの20年は本当に良かったと思います。

――結果的にやついさんはDJをしたりフェスを開いたり、サウナ・登山・怪談など、多方面で活躍されるようになりました。今立さんはゲームの番組や雑誌でよく拝見します。そんな中で、今の活動の中で、一番のモチベーションになっているものは何でしょうか?

やつい とにかく長生きして、同期が全員いなくなってもコントをやり続けること。それがモチベーションです。大喜利力があっても、演技力があっても、早く死んだら意味がない。だから「長生き」という分野で勝とうと思ってます。

今立 僕は変わらず「面白いこと」が好きだし、お客さんの前でウケるのが一番のモチベーションですね。スベるのは嫌ですけど(笑)。

――やっぱりライブが一番のモチベーションなんですね。

今立 そうですね。お笑い芸人としてはそれしかやってないですから。

二人のモチベーションになっていることは…
二人のモチベーションになっていることは…

――25年前に始めた頃と、今の活動を比べて「思い描いていたこととのギャップ」や「実現できていること」はありますか?

今立 僕は「できてる」と思いますね。芸人になりたい、それが夢だったので。

やつい 昔はもっとテレビに出てどうこう、って考えてたと思います。子どもの頃はテレビしかなかったから。だけどやっていくうちに「ライブを続けたい」「ラジオをやりたい」とか変わってきた。

ラジオもやって、ライブもやって、あとは「いい生活がしたい」っていうのがありました。だって、バイトをしながらまで続けたいほど好きではなかったから(笑)。

――えっ!(笑)。芸能活動を仕事として割り切って見ている部分もあるんですね。

やつい もちろん、ライブやって、くだらない話して、お金も入ってくる、それが理想です。ただ、なかなか難しいから「自分の好きなものをどうやってお金に換えるか」を考えてやってきました。

その結果、独特な形になって、それで生活できているからライブも続けられる。だから結果としては、やりたいことはやれているんです。

――多くの芸人さんを見ても、エレキコミックさんの活動は理想的な歩み方ですよね。特に今の若い人たちは「テレビよりライブをやりたい」「自分の好きなことをしたい」という傾向が強いですし、その歩みはモデルケースになっていると思います。

やつい 今は特にそうですよね。YouTubeとかもあるし、事務所関係なく人気が出れば自立できる。あの時代にそれがあれば、また違ったと思います。