「WATER PARADISE TOKYO」(ジャンプ・コミックス第138巻収録)

今回は、「水の楽園」と銘打ってオープンした遊園地で、両さんがやりたい放題の限りを尽くすお話をお届けする。

両さんの大暴走は、やがてとんでもない大災害……というか人災を引き起こすことに。

日本はもともと平地が少なく、海&河川の水位より低い土地に位置している都市が多い。また、都市化がもたらす自然遊水池の減少によって短時間に多量の表流水が河川に流入し、降雨時の河川の急激な水位上昇が頻繁に起こるようになった。

近年では、生活下水と雨水の両方を一本で処理する構造だった下水道がオーバーフローし、高級タワーマンションが水没・孤立してしまったのも記憶に新しい。

水害への備えは、こと日本に住んでいる限り、不可欠なものといってよいだろう。

2019年のアニメ映画『天気の子』では、超長期的に降り続く雨によって、東京が水没していく様子が描かれていた。現実には「降雨によって」海面が何10メートルも上昇することはありえないが、東京のかなりの面積は、いわゆる「ゼロメートル地帯」に相当する。

『こち亀』の舞台である葛飾区は、荒川、中川、江戸川といった大きな河川に囲まれている。そして地下水汲み上げによる地盤沈下のためもあって、区の面積の半分近くがゼロメートル地帯だという。水害のリスクは、決して他人事ではないのだ。

ちなみに『こち亀』には、大雨が原因の災難が本作以外にもいくつか存在する。

「草野球オリンピックの巻」(ジャンプ・コミックス第52巻収録)では、野球の試合中に大雨となり、選手たちが水に流されてしまった。

「嵐の大江戸船めぐりの巻」(ジャンプ・コミックス第67巻収録)では、大雨をついて決行された東京湾での船遊びが描かれている。大雨と津波の影響で屋形船が隅田川を逆行してしまい、やがて神田川へと突入。挙げ句の果てに線路に乗り上げ、都心を大暴走? していた。

また、「怒涛の下町パイレーツ!?の巻」(ジャンプ・コミックス第75巻収録)では、大雨の影響でレストランのディスプレイだった大型帆船が水浸しの街に流れ出してしまい、こちらも往来を帆船が闊歩するという、シュールな光景が描かれた。

「嵐の大江戸船めぐりの巻」より
「嵐の大江戸船めぐりの巻」より

それでは次のページから、水の楽園で起こる衝撃の大災害をお楽しみください!!