田久保市長「温泉カフェという形で温浴施設をつくりながら図書館を併設する」
だが、事態はそんなに簡単ではないと別の市政関係者は指摘する。
「図書館の建設費はおおむね国の補助金と市費が半々ずつです。ここで計画を取りやめると20億円前後の補助金を得られなくなり、さらに加えて他の複数の地域の再開発や建設事業の補助金も止まる恐れがあると関係者は憂慮しています。
田久保さんも市議だったのでこうした事情を知らないはずはないのですが、選挙で分かりやすく“42億円の事業を白紙撤回”と打ち出し、当選後すぐに手続きを止めてしまった。だから市議会はその手法を問題にしているんです」(関係者)
大きな公共工事のあてがなくなった業界の恨み節の可能性があるとしても、地域に大きな影響が出ているのは確かなようだ。そして実は、ほかでもない田久保市長自身が、やめたはずのハコモノを同じ場所につくる考えを口にしているのだ。
地元の伊豆新聞がSNSで詳報している田久保市長と市民の会話記録によれば、市長は7月2日「今の新図書館建設事業の所は源泉がございます。その源泉を生かしつつ図書館もできないものかといろいろ考えて調べてみたところ、温泉カフェという形で温浴施設をつくりながら図書館を併設することを自治体と一緒にやっている事業体がございました。(こうしたものの)実現の可能性を探らせていただいています」と発言している。
これには市民から「ハコモノ政治に回帰するのか」と質問が出され、田久保市長は「民間の資本を投入して建てていくスタイル。これをぜひ確立させていきたい」と答えている。
「図書館をやめると言いながら“温泉付き図書館”をつくるという話です。今の新図書館計画は一度やり直した設計費だけで2億円も投じており、これをまた設計からやり直せば一体いくらのカネが要ることになるのか。場当たり的としか言いようがない」と市関係者は話す。
そして田久保氏は市民との対話で「私が今、方向性として2、3の企業さんとお話をしておりまして」とも発言している。業者と接触しているとの“自白”を市幹部と市議会は深刻に受け止めており、8月13日の百条委では市の⽊村光男総務部⻑が「われわれといいますか、私はそれは知らない。今、例えば市長が単独で動くなんてことがありましたら、当然癒着が疑われる事案になってきます」と証言。田久保市長は自ら新たな疑惑の種をまいた形になっている。