「図書館計画は…入札の中止で白紙ではない」と市議
「就任後、(阻止を)達成できたはずの新図書館建設事業も、今着々と復活の兆しを見せております。本当にこれだけはやり遂げなくてはいけない」
田久保市長は一度表明した辞職の約束を覆した7月31日の記者会見で、新図書館計画をやめさせるため市長職にとどまるので「今後ともよろしくお願いします」と言い切った。
「新図書館計画」はかつて温泉ホテルがあった約4000平方メートルの市有地に5階建ての図書館をつくるものだ。前市長が推進して2024年秋に計画が固まり、2025年度中に着工する予定だったが、今年5月25日の市長選で白紙撤回を公約にした田久保市長が当選。田久保氏は就任初日の同月29日午前に入札手続きを止めるよう市幹部に指示した。
これが妥当なのか疑問を持った市議会は、田久保氏の学歴詐称疑惑を調べる調査特別委員会(百条委)で入札停止指示の経緯も調査している。その百条委で8月13日に証人尋問を受けた教育委員会幹部は「市長が行なったのが入札の中止で、計画についてはまだ白紙になったわけではない」と発言。
これを聞いた百条委メンバーの市議が直後の休憩中の雑談で、「入札は中止したけれども計画自体は生きている」「(図書館計画をどうするかは)次の市長で考えるしかない」と口にした。
この発言を知った田久保市長の支持者からは「田久保市長の退陣後に次期市長の下で新図書館計画を再開させようとする問題発言だ」と反発する声が上がっている。その事情を市内の建設業者が解説する。
「田久保市長は自分の当選でやめさせたはずの新図書館建設計画が“水面下で激しく動いている”と主張し、支持者をつなぎとめようとしています。
百条委での市議の発言は、“反田久保勢力が市長を交代させ、図書館建設復活を企てている”という田久保市長の主張を裏付けるものだと捉えた支持者が、反市長派に反撃する糸口にした形です」(建設業者)
伊東市内では“建設費は42億円ではなく本当は54億円に跳ね上がることが分かっているのに隠蔽されてきた”と推進派を批判する怪文書も飛び、図書館建設の行方は最大の焦点になっているように見える。