チャーミーが62歳の誕生日に語ってくれたこと

2023年6月17日、毎年恒例の全国ツアーの一環として、東京・渋谷クラブクアトロでラフィンノーズのライブが開催された。いつものオープニングSE(代表曲『パラダイス』のオーケストラバージョン)が流れはじめると、僕は一気に若返る。ラフィンに夢中になり、コピーバンドまでやっていた高校時代と変わらぬ気持ちが昂まるなかSEは終わり、一曲目のイントロに乗って僕のパンクヒーロー、チャーミーがステージに現れた。

ラフィンノーズのライブを初めて観た日のことは、今でも鮮明に覚えている。メジャーデビューから1年が経過した1986年10月26日。東京・日比谷野外音楽堂で高校2年の僕が初めて目の当たりにしたラフィンノーズは最高にかっこよく、とりわけボーカルのチャーミーは「これからはこの人についていこう」と思わせるほどに輝いていた。

あれから月日は流れ、僕は50代になった。音楽の趣味は広がったが、ラフィンノーズへの思いは変わらない。コロナ禍がやわらぎ、ライブに足を運びやすくなった2023年は、5月の横浜公演やこの日の渋谷クラブクアトロなど、何度もライブに参戦した。

どのライブでも、チャーミーはいつもパワフルだ。

“あのころ”、1980年代のチャーミーはまだ20代前半の若者だった。そして約40年を経た今も、約2時間を全身全霊で歌い、ステージ狭しと動き回るその姿は颯爽としている。きっと何かしらの節制や鍛錬があるのだろう。2023年6月21日、奇しくもチャーミー62歳の誕生日当日におこなったインタビューでは、まずそんな話になった。

「以前よりすごく気をつけているのが“食”です。具体的にですか? コンビニフードは食わない。1日3食ではなく1.5食ぐらいにして、がっつり食うのは1食だけ。あとはグルテンフリーや玄米食ですね。

肉は好きだからビーガンではないけど、放牧されて育ったグラスフェッドビーフを選ぶようにしています。ホルモン剤でバッチバチの肉なんて、もう食べられない。コンビニのおにぎりやお弁当も、裏面を見ると添加物だらけ、毒物まみれですよ。そういうことを意識しはじめたら、明らかに体の調子がいい。体重もすっと落ちて、俺、今は20代よりスリムです。あれ、なんの話してんだろう。今日はこういう話でいいの(笑)?」

今のチャーミーを知るうえではとても興味深い話だったので、ぜひ続けてもらうことにした。かつては浴びるように飲んでいた酒も、ずいぶん前にきっぱりやめたという。

「酒は完全に行くところまで行って、ドクターストップがかかった。東日本大震災の前だったかな。『あんた、これ以上飲んだらもう死にます』って医者からはっきり言われたんです。やめてからしばらくは、離脱症状の振戦せん妄というのが出て、大変でしたよ。本当なら入院しないといけない状態だったんですけど、自力でやめられました」

その強い意志に驚く。盟友であるベーシストのポンは今でも酒好きだが、隣でガンガン飲まれても気にならないのだろうか。

「気にならないし、ポンにはむしろ飲んでもらわないと(笑)。人それぞれの人生、生きざまだから。でも、食について俺が何か話すと、一番食いついてくるのはポンなんです。俺はちょっと前まで、アスリートのように、ライブの2時間前に必ずパスタを食べてたけど、今はそれもやめてファスティングです。ライブ前日から20時間ぐらいはプチ断食で、腹にほとんど何も入れません。そういうことをポンに話すと、『マジか⁉ 俺もその域に行きたいわ!』って食いついてくる。ポンはマインドが昔から本当にオープンなんです」

40年以上のつき合いになるチャーミーとポン。その絆の深さは外からは計り知れない。

「ポンと向いている方向が一緒であることは間違いないかな。お互いに同じことがしたくて、同じような方向に進んでいる。俺らふたりは、絶対一緒にいなければいけないっていう意識が、今さらながらちょっと芽生えてますね。だから、『おまえ、長生きしてくれよ』って。向こうは絶対、俺のほうが先に死ぬと思ってるだろうけどね(笑)。

この前もポンに、『ちょっとジャンクフード食べ過ぎだぞ』って言ったら、『ほんまやな。俺もジャンクフードやめようかな』って言ってましたけどね」

ラフィンノーズの2023年6月の東京・渋谷クラブクアトロのライブ。書籍の表紙となっている。
ラフィンノーズの2023年6月の東京・渋谷クラブクアトロのライブ。書籍の表紙となっている。
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