「ゲームは1日1時間」を生み出した名人の見解は?

最後に、40年前に「ゲームは1日1時間」という標語を生み出したファミコン世代のスーパースター「高橋名人」こと高橋利幸氏に今回の条例について聞いた。

「大いに良い条例だと思いますよ。むしろ国レベルで言ってもいい注意喚起ではないかとさえ思います。実際、スマホ利用による大人はスマホネックや睡眠障害、眼精疲労、精神的依存、最近では中毒性の高いオンラインカジノなどのアプリもあります。

子どもにも視力低下や学力低下にも影響を及ぼしていますから、この注意喚起は決して時代錯誤とは思わない」

高橋名人
高橋名人

かつて高橋名人が「ゲームは1日1時間」という標語を掲げたのも、こんな意図があった。

「もちろん当時、私はハドソンというゲームメーカーのいち社員でしたから、ゲームで遊んでくれる子どもがいるから商売が成り立つ立場でした。でも、子どもはゲームを与えると際限なくやってしまう。

だから1985年7月26日に兵庫県ダイエー香椎店(現在は閉店)で行なった『全国キャラバンファミコン大会』の会場で『ゲームは集中して1時間くらいするのがいいんだよ』というような言葉を言いました。その後、標語化したんです」

高橋名人は最後にこうも言った。

「2時間という時間にとらわれず、各家庭、各個人が、スマホ以外に余暇を楽しむことを意識した方がいいのではないかという、あくまで呼びかけですよね。スマホはじめとしたトラブルが多いのは確かなので。僕は大いにいいことだと思います」

ハドソンのファミリーコンピュータ・シリーズ「ヘクター’87」の説明書に載っている高橋名人のアドバイス
ハドソンのファミリーコンピュータ・シリーズ「ヘクター’87」の説明書に載っている高橋名人のアドバイス
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スマホはもはや生活必需品だ。市による条例化がどうだろうと、市や学校、保護者はもちろん大人ひとりひとりが連携して適正使用にいて考えるのが良いのだろう。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班