「自爆型ドローン」の需要が止まらず4割引で売買

――ウクライナ軍がFPVを使ったドローン戦術に〝開眼〟したきっかけは?

戦略的要所のバフムートをロシア軍に奪われた2023年の春頃が転機かもしれません。この時期には、アメリカからの支援が滞っており、ウクライナ軍は砲弾不足に悩まされていました。そんな状況の中、急速に関心を集めるようになったのがドローン戦術でした。

遠隔操作でアクロバティックな動きができるFPVドローンに直接、対戦車ロケット砲弾や爆弾を搭載することで、移動する軍用車両から塹壕の中にいるロシア兵まで、砲弾を節約しながら、ピンポイントで攻撃することが可能になったのです。

――初期には「カミカゼ・ドローン」と呼ばれましたが、現在は「自爆型ドローン」という呼称が一般的になってきたようです。

ウクライナ軍もロシア軍も大量のドローンを消費しているため、その市場価格はどんどん値下がりしています。昨年4月に取材したときには「ドローン1機/1000ドル」ほどでしたが、その半年後には「600ドル前後」になっていました。それでも、世界最大のドローンメーカーである中国のDJIあたりは儲かっているのでしょうね。

自爆型FPVドローンは市販〜オリジナルパーツをアッセンブルして安価に作られている。 軽量なカーボンフレームに3枚羽を組み合わせて機動力を高めている。
自爆型FPVドローンは市販〜オリジナルパーツをアッセンブルして安価に作られている。 軽量なカーボンフレームに3枚羽を組み合わせて機動力を高めている。

――ドローンについて伺っていると、現代の戦争は「無人機による静かな戦争」なのかと勘違いしそうになりますが、「日本人義勇兵の実像」のパートを読むと、ウクライナ戦争もやはり、横田さんが取材し続けてきたこれまでの戦争と地続きであると痛感させられます。

世界各地の紛争地には――ことさら存在を主張しないだけで――ときに日本人義勇兵が潜んでいますが、今回のウクライナ戦争にはかなりの数の日本人が参加しています。元フランス外人部隊、元自衛官、元ヤクザ……。

元ヤクザの日本人義勇兵のハルさん
元ヤクザの日本人義勇兵のハルさん