※2023年12月22日時点に収録された対談です
イスラエルはパレスチナに勝てるのか?
内藤正典(以下、内藤) 今イスラエルは、ガザに対して病院だろうと、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の学校だろうと、ジャーナリストだろうと、子どもたちだろうと無差別な攻撃を続けています。
つまり「病院だから攻撃しないだろう、民間人だから殺さないだろう、殺してはいけない」といった国際人道法にも根拠を持つこれらの道理は、完全に否定されてしまったようです。
イスラエルがガザのシファ病院を攻撃した件は、大きな批判にさらされました。イスラエルは、「病院の地下にハマスの拠点がある」と言って批判をはねつけたわけです。実際には報道されたとおりそんなものはなかったのですが、当時「あるのだから病院ごと吹き飛ばしてかまわない」と強弁していました。
また、UNRWAの学校も同様ですけど、学校にはガザの多くの市民が避難しています。しかしイスラエルは、その中にハマスがいると言ってこれも攻撃した。そのようなことを際限なく拡大していったら、結局、ガザ全部を吹き飛ばしてもかまわないということになってしまいます。
イスラエルの攻撃は、文民であるか、戦闘員であるかを区別しているように見せて、実は完全に絶滅させてしまうものです。それはジェノサイドですし、エスニック・クレンジング(民族浄化)にあたるようなことを、最初から意図した上で理屈をつけているように見えます。
ですから、最初のうちは、ジャーナリズムも含めて、「病院が攻撃されてこれだけの犠牲が出た」とか、「UNRWAの学校が攻撃されてこれだけの犠牲が出た」という報道の中で批判をしてきた。
あるいは、「『ガザの北部から避難しろ、南部へ向かえ』との通告があったから、南へ行ったらその最中に攻撃された、さらに南部で攻撃が始まった」というように。でも実際には、北部の戦闘も終わっていなかったんですよね。2023年12月現在も、北で戦闘を継続している。
ガザの人とやり取りをしていると、これはもう完全にジェノサイドであって、他に何にも表現する言葉がない。このような状況にもかかわらず、三牧先生はよくご存じだと思いますが、アメリカをはじめ、欧米諸国の大多数がイスラエルの攻撃を是認してしまっている。スペインやアイルランドなど少数の例外を除いて。