「鬼のかく乱!?の巻」(ジャンプ・コミックス第23巻収録)
今回は、風邪が大流行するなか、食堂の店主がダウンしたのを受けて両さんが店の手伝いに奮闘するお話をお届けする。
周囲が次々と罹患しても元気ハツラツな両さんに対して、大原部長が「バカは風邪引かないというが……」と述べているが、これはもちろん事実ではない。もともとは「バカ=鈍い人は風邪にかかってもそれを自覚しない」といった意味合いで用いられていた俗説だ。
なお本作で中川や麗子、部長らが使っているのは、フラットな形状の布製マスク。おそらくは当時としては最も一般的なガーゼ地の品だろう。
1981年に描かれたエピソードゆえ、まだ不織布製は普及していなかったと見える。花粉症の流行などにより、マスクの形状や材質、性能が著しく進化していくのは1980年代以降のことだ。
そして一番気になるのが……皆、口をマスクで覆ってはいるが、鼻が完全に剥き出しなこと。
風邪を引いている者のくしゃみや咳によるウイルスを含んだ唾の拡散防止には、ある程度効果があるだろうが、呼吸をする鼻をガードしていないのでは、せっかくのマスクの効果が半減してしまう。鼻をしっかりと覆い、鼻の突起によってマスク地と皮膚との間に隙間が空かないようにするのが肝心だ。皆さんもマスクをする際には、お気をつけいただきたい。
ちなみに本作のタイトルにある鬼の「かく乱」は「霍乱」と書き、食中毒、コレラ、日射病などを指す。普段は元気で丈夫な人が珍しく病にかかることをこのように呼ぶのだ。
それでは次のページから、風邪引きさんたちに囲まれて、両さんが人助けのために発奮するお話をお楽しみください!!