ジャンル外の人との化学反応で、水族館はもっとおもしろくなる
荒俣 水族館の展示の見せ方に広がりが出てきているということについてはどうお考えですか?
なんかの菌 確かに、最近の水族館の映像や照明はすごいですよね。私は具体的には存じ上げないのですけど、いまも水族館は、違う分野の方からいろんな意見を聞きながらやっていると思うんですね。でもそれは、現場の意図とかけ離れている可能性があって。
荒俣 いまの現場とは、だいぶ方向が違いますよね。
なんかの菌 そうですね。やっぱり飼育員は飼育に力を入れていて、映像や照明を使うような見せ方にはそこまで興味がない人が多いかもしれません。
荒俣 その意味ではね、なんかの菌さんがこういうコミックエッセイ本を出すっていうことは、一種の新しい「視覚の開拓」だと思うんですよ。これは非常に重要なことです。少し違う視点から水族館を見せるという点では、紫の照明の水槽を生み出したのと同じだと思うんです。
なんかの菌 ありがとうございます。
荒俣 以前水族館のイベントでなんかの菌さんにお会いしたときも、飼育員の方々と楽しく話をされていたじゃないですか。ああいう環境が、これからの水族館の内部に必要じゃないかなという気がしていまして。
やっぱり水族館はエンターテインメントというか、この水の世界の、その衝撃的なものをどうやってコンスタントにリフレッシュしていけるかが大事なんですよ。そうすると、いま水族館を構成しているのとは違う種類の人たちが必要になってくるんじゃないかと思います。
だから、なんかの菌さんみたいに、水族館の外から水族館に関わる人が出てきたということは、水族館をリフレッシュしていくなかでの一つの先駆けだと思っていて。ある意味ではなんかの菌さんのような存在が、本当に大切なものっていうふうになりますから。頑張ってね。ぜひ。
なんかの菌 水族館業界に貢献したいと思って今回の本も書いたので、そうなったら本望です。