新潟でも銘柄米は朝棚に並べると夕方には売り切れ 

世界に冠たる日本の米どころ新潟の「備蓄米」事情はどうなっているのか。新潟市西区のスーパー「いちまん」の高井栄二朗店長は取材にこう証言した。 

「うちは備蓄米はないですよ。だって(随意契約の)資格がないわけだから。利益率は銘柄米だろうがなんだろうが一緒だから、備蓄米という安価なコメを扱えるのであれば、それに越したことがない。

“進次郎米”のニュースが出たてのころ、ウチにも消費者の方から毎日電話がありましたけど、ウチでは備蓄米は売ってないと認知されてきたのかそれも落ち着きましたけどね」

政府が売り渡しの「中小小売業者」に求めた条件は「年間千トン以上1万トン未満」の取り扱い実績。年に20~30トンの取り扱いという同店のような地元密着型スーパーには、最初からゲームに参加する資格がない。

それどころか米どころ新潟ではコメ不足の解消もおぼつかない状況が続いているという。

コメ農家を視察する進次郎大臣(SNSより)
コメ農家を視察する進次郎大臣(SNSより)
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 「いまでも銘柄米は朝棚に並べると夕方には売り切れ。1家族が購入できるのは一袋と制限していても、毎日売り切れになる。問屋も米不足で困っているから、入荷の配達を週3回から週2回、ヘタしたら週1回に減らしてとまで泣きを入れてきますよ。

入荷が週1になったら6日間の空の状態を耐えなきゃならんでしょ、だから新米が出るまでは毎日新しい問屋探しだよ。

聞けば東京の大手スーパーなんかじゃコメが余っているらしいじゃない。こっちにも売りにきてくれよって感じ。一連の政策を見てきて思うことは、絶対同じこと繰り返して来年もこのままコメ不足が続くと思う。

だから知り合いのツテを辿って仕入れの経路開拓をして、農家にも直接アプローチを始めましたよ。新潟県なのにコメ不足ってなんですかね。笑えてきますわ」

新潟県内の別の流通業者はこう嘆息する。

「結局、卸関係のトップの人たちがみんな知り合いなもんで『〇〇さんところを優先に卸さなきゃいかんので、本当は備蓄米も卸す余力があるんだけど、ちょっと無理なんですわ』という断られ方をしたこともあります。2次、3次、4次の卸業者はみんなつながっていて、融通し合って消費者に届かないみたいな訳わからんことになっている。

例えばウチの卸はA社一社だけだったとして、B社にも卸してもらうように頼むとしますよね。そうすると『A社さんが絡んでますね』と断られて、後々になってA社とB社でコメを融通し合っていることがわかるっていうこと。実際はこんなもんなんですよ」

備蓄米を視察する進次郎大臣(SNSより)
備蓄米を視察する進次郎大臣(SNSより)