水族館、行ったらどこを見るべき?
荒俣 注目してほしいのは、全体的なつくりですね。僕が子どもの頃にはじめて水族館を見ていちばん驚いたのは、その眺めだったんです。ふつう、我々人間は陸上にいるから、水の中は水面の上からしか見られない。でも水族館は水の中をそのまま陸上にもってきて、それを横から見られるというすごさがある。そういう異世界体験を、いまの水族館はどうつくりだしているのか。
海の中を感じさせる水槽とか水族館のつくりそのものでもいいし、海の中じゃなくてもいいんですけど、あの異世界の眺め、宇宙船から覗いた宇宙の眺めのような、視覚のショックを体感してほしいですよね。
個々の水槽を見てきれいだなとか、おもしろいなっていうのはもう誰でも体験するんでしょうけど、最後に全部回って、一体どのぐらい異世界にいたのか、そういう空間がどこかにあったかどうか。意外にも、この水族館はトイレが異世界だったとか、そういうこともありえますよね。それでもいいんですよ。見どころというピンポイントじゃなくて、異世界としての水族館を体験してほしいです。
なんかの菌 私はミクロな視点として、飼育員の制服ですね。個人的にも見るのがめちゃくちゃ好きなんです。機能性が詰まっていて、最小限必要なものだけを持ち運べるポケットとかがあって。水温計だったり、ホイッスルだったり、持ち運ぶものはなんの生きものを担当するかによって違うんです。そういう出で立ちの違いを見てほしいと思います。
荒俣 今回の『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』にも描いてあるけど、水族館の人が手づくりしたいろんな道具とかがあるでしょう。ああいう、手づくりの道具を見せてその使い方を実演したら、案外おもしろそうですよね。「これで何をやるでしょう?」と見せるとかね。飼育員自作の道具も、水族館では注目です。














