大谷翔平にも通じる「デカさと速さ」
――大の里は今年5月に史上最速で横綱に昇進したわけですが、力士として大の里にはどんな魅力があるのでしょう。
恵まれた体格とスピードです。大の里ほど大きさとスピードを兼ね備えた力士は、大相撲の歴史を遡ってもいないかもしれません。デカくて、速い。そこは、大谷翔平にも通じます。
昔、日本人は身体が大きいと俊敏性に欠けると言われていました。実際に、昭和のスポーツ界を振り返っても、大きくて速いアスリートはあまり見当たりません。
それが、いまや日本人のトップアスリートは180㎝台はざらで、190㎝台も珍しくなくなった。その意味では、大の里も大谷翔平も新世代のアスリートといえるでしょう。
大の里の取り組みで注目してほしいのが、立ち合った相手力士の動きです。大の里が強く押したように見えないのに、あっさり下がっていく。
相撲中継の実況では、圧力という表現を使っていますが、何もせずとも相手を下げてしまう威圧感を放っているのでしょう。
そんな体格とスピードに加えて、威圧感を持つ大の里も、初土俵では敗れていますし、デビュー直後の23年7月場所でも4勝3敗と苦戦しました。
対戦する力士も大の里の立ち合いを警戒して、うまく交わすような相撲を取った、土俵際の変わり身も見事で、大の里はプロの洗礼を受けた気がしました。
しかし大の里は目の前の課題を乗り越え、横綱に上り詰めた。自分の強みに固執するのではなく、柔軟性も持ち合わせています。
また、多くのファンに愛される横綱という点で言えば、貴乃花、若乃花以来の逸材です。身体が大きくて、正攻法の堂々とした相撲を取るというタイプでは、昭和の大横綱と呼ばれた大鵬以来かもしれません。