“永遠のアイドル”降臨!

……と期待を煽るような書き方をしてしまったが、9月6日の武道館公演までツアーは継続中なので、細かい演出やセットリストを明らかにすることはできない。ごめんなさい。

それでも雰囲気ぐらいは…
おなじみの聖子コールが盛り上がる中、オープニングからいきなりのヒットパレードでぶちかまし、記念ベストアルバムでも披露している「新技」を惜しみなく繰り出し、歌だけでなく軽妙なトークでも会場に集まったファン全員のハートを鷲掴みにする、相変わらずの「握力」を見せつけた。

無骨な武道館の壁に“永遠のアイドル”ポスター
無骨な武道館の壁に“永遠のアイドル”ポスター

中でもオープニングで、神殿のような映像をバックに純白のロングドレス姿の松田聖子が登場した暁には、武道館は一種異様な興奮に包まれていた。

アルバムのタイトルじゃないが、「永遠のアイドル教」の教祖、君臨! 「永遠の青春教」の女神、降臨! いまここに!!! 

…と叫びたくなるほどの神々しさと陶酔に会場が席巻された瞬間だった。

もちろん会場のファンたちは大合唱しながら、当時の振り付けを踊りまくる。
観客は聖子と自分の青春時代〜今を重ね合わせていたと思われる中高年女性が圧倒的多数なのだが、「L・ O ・V ・E ラブリーセイコ!」の野太い男声のコールもあちこちから聞こえてくる。

まさに“聖子信者”とも言うべき、ベテランファン男女が「永遠のアイドル」「永遠の青春」を今この武道館で享受している。みんな実に楽しそうだ。

コンサート半ばでは、かなりなつかしいナンバー「Eighteen」(18歳)を披露。
ファンとの掛け合いの中で「Eighty(80歳)まで頑張って!」とふられると、意気揚々に「80歳まで頑張ります!」と宣言した松田聖子、御年63歳。

1980年10月にリリースされた松田聖子の3枚目のシングル「風は秋色」/「Eighteen」。聖子にとって初の両A面シングルで、ミリオンセラーを打ち立てた(CBS・ソニー)
1980年10月にリリースされた松田聖子の3枚目のシングル「風は秋色」/「Eighteen」。聖子にとって初の両A面シングルで、ミリオンセラーを打ち立てた(CBS・ソニー)

ちなみにこの「Eighteen」は、1980年10月にリリースされた3枚目のシングル「風は秋色」のカップリング曲。

作曲を手掛けているのは平尾昌晃で、聖子は出身地・福岡にあった平尾のボーカルスクールに通っており、デビュー前から縁があったとされている。

また、当時「サンデーズ」のメンバーとして聖子が出演していた歌番組『レッツゴーヤング』(NHK)で司会を務めていたのも平尾であった。そして同番組で「ヤングヒットソング」として披露されていたのが「Eighteen」。当初はこちらがA面予定だったが、結果的に「風は秋色」と両A面となった。平尾からの提供曲はこの「Eighteen」1曲のみ。

さらにちなみに、「風は秋色」は資生堂の「エクボ ミルキィフレッシュ」 のCMソングとして使用されており、スマッシュヒットとなった同年4月のデビューシングル「裸足の季節」に続いての「エクボ」ブランドでの起用で、このシングルはミリオンになった。

そして本作は、1988年リリースの「旅立ちはフリージア」までの8年間で打ち立てた、オリコンチャートでシングル24作連続1位の皮切りとなった記念すべきシングルなのである。