アメリカの給料は高いけど、生活は苦しくなっている
アフリカ系アメリカ人は英語を母国語にしている人が多数ですが、アジア人においては新移民が多く、必ずしも英語を喋れるわけではないというのが現状です。
そんな中で「英語もできないのに後から来て自分たちより稼いでいる」として、アジア系が敵視されているのではないでしょうか。
米国勢調査局の年次報告書によると、2023年における米国の実質世帯所得の中央値は8万610ドル(当時約1200万円)です。厚生労働省のレポートによると、2023年における日本の世帯年収中央値は405万円なので、日本と比べると高く見えます。
ですが、アメリカはコロナ禍前の2019年以来4年ぶりの増加で、しかも当時に比べて600ドルほど低い数字でした。その間、インフレ率は2021年は4・68%、2022年7・99%、2023年は4・13%と爆発的に伸びています。
例えば、マクドナルドの2019年と2024年の価格表を見比べるとポテトなどの5品目のインフレ率は平均141%と、5年で倍以上の値段になっています。でも、この5年で給料がこんなに上がっている人はそんなにいませんよね。
家の近くにあった中型オフィスは、老人ホームに改修
これだけの急激なインフレで苦しんでいるのが、いまのアメリカ人の大多数です。
アメリカの住宅都市開発省が発表した『ホームレスに関する年次報告書』(2024年)によると、全米のホームレス数は過去最高の77万1480人となりました。2023年のホームレスの数は65万3104人なので、1年で一気に18・1%増加していることになります。
ちなみに、リーマンショックのあった2007年から2010年の期間ですら、アメリカのホームレス数は63万7000人から55万4000人に減少していました。
ウォールストリートジャーナルによると、米国の賃貸物件空室率は2024年10‐12月期に8%に達し、新型コロナウイルス流行前を上回りました。
一方で民間格付け企業のムーディーズによると、2024年10月‐12月の全米オフィス空室率は過去最高の20・4%を記録しました。
オフィス空室率が高まれば、建設のためにお金を貸していた銀行も困ることになります。ちなみに私の家の近くにあった中型オフィスは、老人ホームに改修されていました。
また、金利が上がったことでアメリカでは不動産の買い控えも起きています。住宅ローン金利は7%前後を推移しており、これだけ金利が高ければ若い人はなかなか手を出せません。