失明のリスクは覚悟の上

――痛みはどうでしたか?

痛みより眼球タトゥーを実現したことによる気持ちの昂ぶりのほうが大きかったです。「ヤバい! やっとできた! 人の体ってこうなるんだ!」って感じで。もちろん失明とかのリスクも知ってたけど、昂ぶりすぎて不安はなかったです。

痛かったといえば。スプリットタン(舌を二つに裂くこと)や耳の切除のほうがキツかったですね。舌を切った翌日なんか、痛くて一睡もできなかったですから。

スプリットタン。舌を切って断面を縫合して現在の形に
スプリットタン。舌を切って断面を縫合して現在の形に

――タトゥーや人体改造全般ですが、リスクがあるのになぜ実行するのでしょうか?

もちろんリスクは認識しているし、覚悟はしていますけど、経験上、許容範囲のことしか起きないから大丈夫なんです。怪我や失明も、なったらなったでそのときはそのとき、そういう感覚で臨んでいます。

──ちなみにスプリットタンは生活に支障ありませんか?

食べ物が舌の切れ目に引っかかるくらいです(笑)。あとは空気が漏れて滑舌が悪くなるので、気をつけてしゃべっています。

──そもそも、タトゥーを含めた人体改造の経歴ってどんな感じでしたか。

17歳のとき、地元・沖縄の有名な不良の先輩と関わりたくて、その人と同じ店で和彫りを入れたのが最初です。全身の桜吹雪と背中の阿弥陀如来で、2年くらいかかりました。

当時は周りの人間が情報源だったので、和彫りしか知らなかったんですよ。それがSNSを見るようになって、いろんなタトゥーの種類や人体改造の情報に触れるようになって、どんどん興味が大きくなっていきました。

――費用はどう工面したんですか?

高校時代はバイト代でコツコツ払ってました。スーパーでは人相が悪いので裏方に回されて、精肉・鮮魚部の掃除をしていました。あとはプールの監視員もやったけど、いわゆる「ウチナータイム(沖縄県独特の時間感覚)」すぎてクビになったり(笑)。

今勤めている会社は自由度が高くてウチナータイムも許容してくれるのでありがたいです。

全身の桜吹雪は高校時代に入れた和彫り。退学させられることはなかったそう
全身の桜吹雪は高校時代に入れた和彫り。退学させられることはなかったそう