出産5時間前に知らされた5億円の損害賠償

約3億8000万円に及ぶ損害賠償の発端は、2018年に遡る。

当時てんちむは、パストアップ効果をうたうナイトブラ「モテフィット」のプロデュースに携わっていたものの、その後2020年に豊胸手術を受けていた事実が発覚して炎上した。

一連の騒動を受け、てんちむは販売元を通して、総額5億円近い返金対応を行なった。ただ当時、購入者から返金されたというリアクションが少なく、販売元が適切に返金対応をしているのかどうか疑問に感じたため、販売元に対して訴訟提起した。

その後、販売元から目次的な契約に基づく返金返品の心証が得られ、逆に販売元から豊胸を隠していたことによる説明義務違反で、5億円の損害賠償を支払うよう反訴されていた。

てんちむからすれば、購入者へ返金対応を行なった後、販売元にも損害賠償を支払うよう命じられた形となる。

「『多額の損害賠償を支払う可能性が非常に高くなりました』。そう弁護士から伝えられたのは、2024年3月初頭でした。奇しくもそのとき、私は息子を出産する5~6時間前で、訴訟の話どころではなかったんですが、額が額なだけに頭から離れなかったのを覚えています」(てんちむ、以下同)

ステージ衣装で取材を受けた
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活動休止期間中のすごし方は? 

2024年3月当時、出産を控えていたてんちむは、YouTubeの活動を無期限休止中だった。それまでは損害賠償を支払うことになる見込みは低いと弁護士から説明されていたこともあり、数年は出産育児に専念する予定だったと明かす。

「(2023年9月に活動休止した理由は)妊娠も大きかったですが、自分としては仕事をやり尽くした感覚でした。これまでは仕事一筋で、YouTubeのためにプライベートも切り売りしていたからこそ、これからは自分や子供の幸せを優先して生きようと考えていました。

活動休止期間中は、LINEも削除して、ほぼ人とも会わず、自分と子供のためにすごしていました。朝早く起きて、自炊して、マタニティピラティスに通って、という一般人と同じ生活です。今までの忙しさが一気に消えたので、精神と時の部屋にいるような感覚でした」

そのまま出産後も、数年は育児に専念しようと思っていたところ、損害賠償を支払うことが濃厚に。急遽、返済のため、2024年5月にYouTube再開を決めたという。

「正直、YouTubeに復帰する数日前は、一番しんどかったです。活動休止も事実上引退として捉えていたので、それから1年足らずで、しかも喜ばしくない理由で復帰したら、ファンや視聴者にはどう映るのか……。想像すると怖くて、ご飯が喉を通りませんでした」

勤務する「スーパースパーク東京」は六本木の地下1階にある
勤務する「スーパースパーク東京」は六本木の地下1階にある

それ以降は、一児のシングルマザーとして、YouTubeでの活動を再開しつつ、かつて在籍していた63エンジェル(旧・バーレスク東京)でダンサーとして働き始める。平日は実家で育児を行ない、土日にダンサーとしてゲスト出勤を続ける、二拠点生活を続けた。

そして2024年12月15日、東京地裁の第一審が結審して、約3億8000万円の損害賠償が確定した。課税される税金を含めれば、7億円近く用意する必要が生じた。