顔認証ゲートは通れない
──今は会社にお勤めなんですね!? これだけ全身タトゥーで働ける仕事って何ですか?
飲食店で事務の仕事をしています。社長もタトゥー好きなんですよ。とはいえ採用当時はまだ顔面のタトゥーは一部だったので、面接で「まだ増えますよ?」と確認してから入社しました(笑)。
次は社長も眼球タトゥー入れたいって話してますよ(笑)。
――仕事に支障はないんでしょうか。
事務なので銀行に行ったりするわけですが、当初は不審に思った銀行から会社に「(タトゥーの方は)大丈夫ですか?」と電話がかかってきていました。
最近はようやく覚えてもらったので、問題なくやれています。ただ、車に乗っていて警察の職質はやたらありますね。止められて腕を見せろって言われるんですよ。薬物を疑って注射痕を探していのだと思います(笑)。
声をかけてきた警察の方とは必ず打ち解けるように努力していて、自分としゃべって「(これまではタトゥーを入れている人に)偏見があったけどなくなった」って言ってもらえるとうれしいですね。
あとは空港なんかだと顔認証ゲートが通れなくて有人カウンターに回されるのはデフォルトなんですが、シンガポールで乗り継ぎしたとき、時間があったので空港の外で観光したかったのに、出してもらえなくて! 空港に閉じ込められてずっと警察っぽい人に囲まれていました(笑)。
やはりこれも薬物の密輸を疑われているようなんですが、こんな目立つ人間がそんなものを運んでいるわけないですよね(笑)。
──長年、体に手を入れてきて、気持ちの変化はありますか?
今思うと、最初はストレスのはけ口で、本当にタトゥーが好きだったわけではなかったんですよ。自分にとってはタバコやいじめに代わる非行の一種だったんじゃないかなと思います。
でもそれが次第に、次はこうしたいってアイデアが出てきて、気がついたら夢中になっていました。それが縁で今の会社に入ってこの生活をしているので、本当によかったと思います。
──今後やってみたい人体改造はありますか?
最近は体へのICチップの埋め込みが気になりますね。太めの注射器で入れるらしいですよ。もっと技術が進んだら挑戦したいです。
とにかく毎日「ここに何を入れようかな」「こんなデザインもあるんだ、いいな」と考えはじめると尽きなくて、毎日ワクワクしています。これからも人体改造を全振りで楽しんでいこうと思っています!
取材・文/宿無の翁 インタビュー写真/わけとく