「肌老化」を進めやすい「果糖」

もう一つ、果糖を抑えるべき理由があります。果糖は肌の老化を進めやすいとされているのです。

糖質を摂取すると、体内ではその糖質がたんぱく質やアミノ酸と結びついてAGEs(エイジス)という物質が生じます。パンをトースターで焼くと「メイラード反応」という反応が起こり、こんがりキツネ色になり、香ばしい香りが立ちます。

「果物を食べるくらいなら脂を」果糖の摂りすぎが招く2つの危険…脂肪肝と肌に及ぼす残念な影響とは_3
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それと同じことが体内では、高血糖ゆえに糖質とアミノ酸が反応して生じるのです。

パンがキツネ色になることからもわかるように、AGEsは褐色の物質です。肌でAGEsが生じるとシミやクスミの誘因となります。また、皮膚を作るコラーゲンというたんぱく質にAGEsがくっつくと本来の弾力性が低下してシワの誘因にもなります[Anti-Aging Medicine 2011;8(3):23-29]。

そして果糖はブドウ糖よりもAGEsを発生させやすいのです[Diabetes 2016; 65: 3521-3528]。

肌によさそうだからと毎朝のように果物を食べたり、砂糖(≒果糖)や果汁入りのコラーゲン美容液などを飲んだりしていると、AGEsがシミ、クスミ、シワなどの引き金となり、肌老化に拍車がかかる恐れがあります。

活性酸素による「酸化」は老化やがんなどの誘因と聞いたことのある方は多いでしょう。酸化とは、有害な活性酸素が招く「サビ」のような反応が連鎖すること。AGEsはこの危険な酸化も加速させます。体内で酸化を抑える抗酸化作用を、AGEsが抑えてしまうからです。

いつまでも若々しくいるために、果糖をやめ、脂質を摂るのです。

写真はすべてイメージ 写真/Shutterstock

脂質起動
山田 悟
脂質起動
2025/6/5
1,540円(税込)
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