「果物を食べるくらいなら脂を」果糖の摂りすぎが招く2つの危険…脂肪肝と肌に及ぼす残念な影響とは
集中力が途切れる、イライラする、首の後ろがずんと重くなる――といった症状があるなら、それは糖尿病・肥満・高血圧症・脂質異常症といった重大な病気の入り口かもしれない。こうした病気に深く関わっているのが「糖質」だ。糖質の過剰な摂取が招く「糖質疲労」を避けるためにできることとは?
「甘い物は別腹」のメカニズム、肌に果糖が悪い理由を書籍『脂質起動』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
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脂質起動 #2
「肌老化」を進めやすい「果糖」 もう一つ、果糖を抑えるべき理由があります。果糖は肌の老化を進めやすいとされているのです。
糖質を摂取すると、体内ではその糖質がたんぱく質やアミノ酸と結びついてAGEs(エイジス)という物質が生じます。パンをトースターで焼くと「メイラード反応」という反応が起こり、こんがりキツネ色になり、香ばしい香りが立ちます。
それと同じことが体内では、高血糖ゆえに糖質とアミノ酸が反応して生じるのです。
パンがキツネ色になることからもわかるように、AGEsは褐色の物質です。肌でAGEsが生じるとシミやクスミの誘因となります。また、皮膚を作るコラーゲンというたんぱく質にAGEsがくっつくと本来の弾力性が低下してシワの誘因にもなります[Anti-Aging Medicine 2011;8(3):23-29]。
そして果糖はブドウ糖よりもAGEsを発生させやすいのです[Diabetes 2016; 65: 3521-3528]。
肌によさそうだからと毎朝のように果物を食べたり、砂糖(≒果糖)や果汁入りのコラーゲン美容液などを飲んだりしていると、AGEsがシミ、クスミ、シワなどの引き金となり、肌老化に拍車がかかる恐れがあります。
活性酸素による「酸化」は老化やがんなどの誘因と聞いたことのある方は多いでしょう。酸化とは、有害な活性酸素が招く「サビ」のような反応が連鎖すること。AGEsはこの危険な酸化も加速させます。体内で酸化を抑える抗酸化作用を、AGEsが抑えてしまうからです。
いつまでも若々しくいるために、果糖をやめ、脂質を摂るのです。
写真はすべてイメージ 写真/Shutterstock
2025/6/5
1,540円(税込)
240ページ
ISBN: 978-4763142221
アブラは体に悪い、はウソだった。
最新栄養学で糖尿病患者を救う北里大学糖尿病センター長・山田悟医師が
「糖質疲労しない食べ方」を教えます。
『糖質疲労』でお伝えした、
「糖質を減らす」ことで得られる疲れにくさとパフォーマンス向上。
でも、減らした糖質の分、もしかして「野菜やきのこ」ばかり
食べていませんか?
じつは、それはとてももったいない食べ方です。
糖質を減らした分、増やさなくてはならないもの、
それは「脂質」です。
脂質は、血糖値上昇にブレーキをかける働きがあり、
さらに、脂質をきちんと摂ることで、
からだについた脂肪を燃焼させやすくし、基礎代謝を上げる効果があります。
本書では、脂質をしっかり摂ることで得られる健康について
お伝えします。
◎脂質は、「脳健康」をかなえる
◎脂質は、「がん予防」につながる
◎脂質は、パフォーマンスを向上させる
山田医師によれば、脂質は「悪者」どころか、「もっとも安全な」栄養素。
日本人がまだ知らない、世界の最新医学を根拠に、
「いいアブラ・よくないアブラ」の最新情報や、
日常に無理なく採り入れていただける「脂質食」についてご紹介します。
脂質は、活力。脂質で「枯れない」毎日を!
【目次より】
●「からだが何をエネルギー源にするか」は「何を食べるか」で変わる
●糖質過多で「脂質起動」が妨げられていた
●「脂質を食べる」と「落とせなかったお腹の脂肪が減る」その仕組み
●ジムに行けない日こそ「脂質たっぷり」が正解のワケ
●「甘いものは別腹」は本当、「脂肪肝」を招く怖い「果糖」
●「脳に糖分を!」と甘いものを常に食べていませんか?
●糖質過多だと“脳のゴミ・アミロイドβ”が掃除されない?
●「脳の唯一の栄養は糖」はウソ、「超脂質食」こそ脳にやさしい
●「発がん」にも「がんの成長」にも関与する「果糖」!?
●脂質を摂ると「脂質異常症」「動脈硬化」のリスクが下がる
●「お肉」も安全な優秀脂質、がっつり食べよう
●食べる前の「手のひらナッツ」が肥満も疲れも防いでくれる
●糖質は控えめ、脂質とたんぱく質は「満腹になるまで」食べなさい