日本版のジョブ型雇用は、本来のジョブ型ではない

現在、日本で導入が進められているジョブ型人事制度の多くは、仕事ではなく「役割(職責と成果)」を規定しています。正確には、ジョブ型ではなく「役割型」や「ポスト型」なのです。

また、役割やポストを規定しても、ジョブディスクリプションは書かないケースも多々あります。

つまりジョブ型と言いながら、内容はジョブ型とは似て非なるものになっているのです。

本来のジョブ型は仕事に値段がついているので、人事評価は行われません。ジョブディスクリプション通りの仕事が行われたのなら、評価する必要はなく、決められた報酬が支払われます。

一方、日本はどうかと言えば、役割やポストを規定しているため、その役割を全うできたのかどうか、半年ごと、あるいは1年ごとに、役割遂行に対する人事評価を行っています。

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この点でも、本来のジョブ型とは大きく違います。

そして、人事評価は「温情評価」になりがちで、その役割から「ポストオフ(降格)」させることも困難です。このポストオフに関しては、ほとんどの企業の人事部にとって頭の痛い問題となっています。