景気刺激策の効果はどれほどか?
それでは、国民民主が主張するような消費減税による内需刺激効果はあるのだろうか。
野村総合研究所は消費減税の景気効果を試算している(「自民党が消費税に関する勉強会:政府・自民党が消費税減税を見送る方針を固めたとの報道も」)。国民民主が掲げる5%の消費減税により、実質GDPを1.07%押し上げる効果があるという。
一定の効果はあるように見えるが、5%の引き下げで12兆円程度の税収減である。財政危機のリスクに見合う経済効果はないというのが、この中で導き出された結論だ。
国民民主代表の玉木氏は消費減税によって自動車の販売が好調になるかのような主張をしている。しかし、税率10%で330万円だった自動車が、減税措置で315万円に下がったからといって、本当に販売が促進されるだろうか。10%の税率が5%になると車の買い替えや新規購入需要が活発化するなどとは到底思えない。
自動車を購入する人の大部分は、必要に迫られるか、欲しいから買うという単純な動機に動かされている。消費税のようなわずかな金額のせいで買えなかったという人はほとんどいない。自動車価格が予算を上回った人の多くは、オプション変更などによって価格調整を行なっているのだ。そして購入者の4割は自動車ローンを使っており、高額な金利を支払っても購入する決断をしている。
各党の主張は、まるで消費減税が国民のあらゆる悩みを解決する魔法の杖であるかのようなものだ。自民党の森山幹事長がポピュリズムとの批判をするのも納得ができる。自民党は責任政党としての使命を果たすべきだろう。
取材・文/不破聡 写真/shutterstock