東海地震はエネルギーをため込んでいる…
注意してほしいのは静岡沖の東海地震です。1854年に安政南海地震は動いているけれど、そこから東海地震は動いていないんですよ。
東海地震はいつか起きると言われているけれど、長いこと起きていないので、多くの人が「全然起きないから結局は起きないんじゃないですか?」「もう東海地震は考えなくていいんじゃないですか?」と思っています。地球科学者が“オオカミ少年”状態になっている。
でも、これまでの南海トラフ巨大地震の歴史では、だいたい3回に1回は3つの地震が連動している。
最新はいま、お話しした1707年の宝永地震です。地層には20回ぐらいの地震の跡が残っていて、いま、研究中ですが、けっこう規則的なんですね。そのため、次はきっと3つの地震の連動が起こり、東海地震のパスはない。
怖いのは、しばらく起きていないということは、それだけエネルギーをため込んでいるということなんです。
途中で地震が起きてエネルギーを解放してくれればいいんですが、ため込むとプラス2回分のエネルギーが追加されるわけです。借金が2倍になるような感じです。毎回、借金を返済していたら、それほどの額ではない場合でも、2回分、3回分をまとめてだと、どんどん額が大きくなっていく。それが東海地震なんです。
2024年時点で前回1707年の地震から317年の空白があるわけですが、いまは一年ごとに利息がついている感じです。それで次に地震が起きたら、全部を払わないといけないことになる。
だから、「東海地震は起きないよね、危険ではないよね」と安心している人は、ここで考えを切り替えてほしいですね。
文/鎌田浩毅