南海トラフ巨大地震の脅威

東日本大震災が起きた東日本に対して、西日本はどうかというと、同じような地震が発生する可能があります。

それが南海トラフ巨大地震です。

トラフとは海底の細長い窪みのことで、海溝よりは浅くて幅が広い。南海トラフは図1では左のほうにあります。南海トラフは静岡県から紀伊半島、四国、九州の沖合まで伸びています。

図1:日本列島で想定されている大型の地震。政府の地震調査委員会の資料を元に筆者作成。『「地震」と「火山」の国に暮らすあなたに贈る 大人のための地学の教室』より。イラスト:田渕正敏
図1:日本列島で想定されている大型の地震。政府の地震調査委員会の資料を元に筆者作成。『「地震」と「火山」の国に暮らすあなたに贈る 大人のための地学の教室』より。イラスト:田渕正敏
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南海トラフ巨大地震の対象は3つの場所(静岡沖の東海地震、名古屋沖の東南海地震、四国沖の南海地震)にわかれていて、さらにもう一つ九州の日向灘地震もあって、いったん地震が起きると、この4つが連動します。

南海トラフ巨大地震が予想されるのが、2035年をピークにしてその前後の5年です。わかりやすく説明するなら2030年代で、いまから約10年後です。

その地震が起きると、どのような被害が出るか、先にそのことをお伝えしましょう。

東日本大震災は死者の数が2万人ぐらいで被害総額はおよそ20兆円でした。一方、南海トラフ巨大地震は死者の数が32万人、被害総額220兆円とされています。

恐ろしいことに、被害が一桁も大きくなります。これほどの被害の差がある最大の理由は、南海トラフ巨大地震の影響を受ける地域に人が多く住んでいるからです。

つまり、人口密度の高い地域ほど災害が拡大するのです。